My Cinema Talk World: 11月 2013

作品インデックス

2013/11/24

レス・ザン・ゼロ(Less than Zero)




ストーリー
高校時代幼なじみで仲良し3人グループだったクレイ(アンドリュー・マッカーシー)、ジュリアン(ロバート・ダウニー・Jr)、ブレア(ジェイミー・ガーツ)。卒業後クレイだけL.A.から離れ大学に入学。休日にL.A.に戻ったクレイは、ジュリアンの堕落しきっている生活に驚く。ドラッグと酒に溺れて多大の借金を抱え、親にも見放されていた。クレイはブレアとかつて恋仲だったが、今はジュリアンと一緒だった。ブレアだけがジュリアンの味方だったが、彼女もドラッグに染まっていた。やがてブレアとヨリを戻しながら、目の前で次第にぼろぼろになっていくジュリアンのありさまを見ていられなくなり金を貸したリップ(ジェームズ・スペイダー)へ借金の肩代わりを申し出るクレイ……。

キャスト
アンドリュー・マッカーシー(クレイ)
ジェイミー・ガーツ(ブレア)
ロバート・ダウニー・Jr(ジュリアン)
ジェームズ・スペイダー(リップ)

スタッフ・作品情報
監督:     マレク・カニエフスカ  
製作:     ジョン・アヴネット、ジョーダン・カーナー  
原作:     ブレット・イーストン・エリス  
脚本:     ハーリー・ペイトン  
撮影:     エドワード・ラックマン
初公開年月:     1987年11月(アメリカ公開)

続きを読む以降にネタバレあります。
未見の方はご注意下さい...


2013/11/23

「ドニー・ダーコ」 感想文。

Donnie_Darko_eye.jpg

前回に引き続きまして、今回は自分なりの解説を綴っていきます。
難解な本作、解説とはいっても作り手が意図した内容を完璧な説明はできません。
私がこの映画を見て思った通りのことをつらつら書き綴っているということをご了承下さい。
「それは違うんじゃない?」という意見は絶対あります。承知の上でございます。
おそらく、この映画を1度だけ鑑賞してすぐ納得する方がいれば...ハッキリ申し上げて貴方はすごい!
私、3回見て「ああ、こうなのかな?」って思った程度で理解したわけではなく、頭の中はまだ疑問符が山積みでした。
だからこそ繰り返し見て楽しむ作品であり、あれこれ考えるのが楽しくるというワケです。
時間があるときは、是非DVDを繰り返し見て新しい発見をしましょう♪

映画冒頭。
主人公が山道に倒れています、その傍らには自転車。
起き上がり眺めるグラデーションが綺麗な山々、絵に描いたような景色。
ずいぶん早朝のように見える。
起き上がりなんとも意味不明な笑いを浮かべる青年。この笑いの意味は一体?
そしてバックに流れる音楽は、すでにエンディングを迎えているようではないか。
青年はこの場所にもう一度戻ってくることになる、その時は車で。空は暗雲が立ちこめ割れて落ちてくる様相を呈していた…がそんなことを知るよしもなく軽快に自転車を漕ぎながら山道を駆け下りる、主人公ドニー・ダーコ。(バックにはエコバニの「Killing moon」が流れています)
時代は1988年。ちなみに日本は平成になる前の年です。
(わたくしごとですが、とても思い入れの深い年です。)
アメリカではちょうどブッシュ(共和党)とデュカキス(民主党)との大統領選挙がTVを賑わしておりました。
マサチューセッツ州知事で評判のよかったデュカキス(この映画の舞台はマサチューセッツ、ドニー一家もマサチューセッツに住んでいる。)にドニーの両親が批判的なのが面白い。ネガティブキャンペーンの影響だと思います。

以下ネタバレありです…未鑑賞の方はご注意下さいませ。





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28日6時間42分12秒で世界は終わる


映画の話からはずれますが、「1999年に何らかのかたちで世界が終わる…」その頃の私は3割くらいはそんな思いを頭の片隅に置いていました。
1999年までは、後悔しないようにワイワイ楽しくやろうなんて思っていました。
今、考えてみれば笑ってしまいますけれど、本当の話です。
その割に、何が起こるのかとか深く考えていなかったんですけどね。
ドニー・ダーコは1988年10月2日になったばかりの深夜に不気味な声に導かれて寝室から出て行きました。
その声の主は、なんとも不気味なうさぎ。本物ではなく人間が着ぐるみをきたような、しかも顔はドクロの銀色のうさぎです。
うさぎは言うのです
「あと28日と— 6時間と— 42分と— 12秒。それが世界の終りまでの残り時間だ」と。
ゴルフ場の芝生の上で起こされた彼の腕には「28:06:42:12」という落書きがありました。
”世界の終りと”は何を意味するのでしょうか?
いきなり「あと28日で世界が終わる」と言われても何をすればいいのやら。
確実に言えることは、親とか友達にそれを言ったらどう考えても気が変になったとしか受け取ってもらえないでしょうね。
彼に「世界が終わる」と告げたのは奇妙な(むしろ不気味な)うさぎです。この映画でドニーを不可思議な空間に導くものがこの登場人物(?)。
まずは「不思議の国のアリス」を連想する人がたくさんいると思います…私も同じです。それと、アレです…「マトリックス」の白いうさぎが連想されますね。ここまで考えるともはや「厄介なこと」や「災い」を喚起する存在であると気づきます。「マトリックス」も、現実世界と仮想世界を行き来するお話です。
そう、ドニーもうさぎの出現以降時間軸がアレしてしまうんです
ここがまた意見が分かれるところでもあると思います。あくまでもここでは私の個人的主観を書かせてもらいます。
ドニーは現実とは別の仮想世界に入り込んでしまいます。
10月2日、ドクロうさぎの声でベッドから抜け出し気がつけばゴルフ場の芝生の上に寝ていたドニー。
帰宅した彼を待っていたもの。ダーコ宅に飛行機のエンジンが落下しドニーの部屋を直撃でした。両親、姉、妹は逃げ出し家族全員が無事で、帰宅した彼をホッとしたというような笑顔で迎えます。
この時から彼と彼の周囲が変わって行くのでした。そうです、この場所こそ現実の世界と平行して存在するなぞの異次元空間です。

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理解ある両親。“孤独ではない”日々

ドニーの部屋を飛行機のエンジンが直撃したこの日からドニーの生活が以前と変わっていきます。なんといっても両親が10月2日以前の様子とは一変しています。薄気味悪い笑いを浮かべたドニーの父親が理解ある人間になっています。(ドニーの姉、エリザベスが朝どこかに出かける時に芝生の上の枯れ葉とかを吹き飛ばすような機械を我が娘に吹きかけ喜んでいたシーンでなんだか気持ち悪いオヤジだなと思っていたのですが。。。)母との関係も一変。以前は言い争いの末母親を「クソババァ」と罵るほどだったのが、心に暗い闇を抱えている息子を母親も親身に心配するようになります。
ドニーが罹っている精神科医のサーマン先生。薬物療法より催眠療法やドニーの話をよくきいて彼の心のうちを引き出そうとしています。(現実社会では冒頭のダーコ家の食卓での会話から予測するに精神安定剤の量を増やすくらいの治療しかしていなかったと思われます。)実際にドニーの前に「フランク」と名乗るあのうさぎが現れてからドニーを含め、周囲の人たちが“いい人”になっているのです。
学校生活でも、悪ふざけや冗談を言い合う仲間がいて転校して来たかわいい女の子グレッチェンにも気に入られています。ドニーも一目惚れしたようすです。理解ある先生もいたりしてドニーは孤独ではありません。みんなに虐められている太った女の子シェリータをかばう余裕さえ見せます。
ん?主人公に都合の良いこの進行具合。またまた「あれれ?」というカンジがしますよね。
私が過去に書いた記事だと「マルホランド・ドライブ」や「ルル・オン・ザ・ブリッジ」で説明済みのこの感覚。

破壊と創造

ドニーは「恐怖克服セラピー」を主催する人物、ジム・カニングハムに敵対心にも似た感情を向けます。なぜでしょう?
学校の授業でもカニングハムのビデオを見せ生徒に彼の思想を押しつけてきます。彼のセラピーで使用しているビデオではこういっています「私は鏡の奥に映っているもの、その中に”自我”をみたのです」と。正しいことを語っていても新興宗教にも似たなにかが感じられます。私はこの言葉がドニーを逆なでしたのだとなんとなしに感じました。
ドクロうさぎ(フランク)はドニーの前に現れては次々に謎の言葉を残していきます。
今のアレしてしまった世界でよい人間になりグレッチェンと付き合ったりと充実した毎日楽しい生活を送る一方で、ドニーはうさぎに操られているかのように学校の水道管に斧を振り下ろし水浸しにしたり、ジム・カニングハム邸に火をつけたり破壊的行動に走ってしまいます。
一方、創造的な言葉もうさぎは残しています。「お前はなんでもできる。タイムトラベルを知っているか?」と。
うさぎが現れた時に見せるドニーの険しい表情も意味がありそうです。ドニーは言いなりになりつつも鏡の向こうのうさぎに対してナイフを突き立てたりさえします。ネガティブな考えに必死に抗ってもいたのです。
頭の中で渦巻いていた破壊と創造...ドニーの潜在意識として存在して2つがドニーの姿と鏡の向こうにいるドクロうさぎ(フランク)として戦っていました。

死神オババとタイムトラベル

ドニー・ダーコの近隣に住んでいる人物で死神オババという不思議な老婆が登場します。いつもヨタヨタと自宅のポストまで歩いて行き、郵便物が来ていないかを確認する行動を繰り返しています。近所の人々から「変な老人」と思われている存在です。ある日、ドニーの耳元で「生き物はみな孤独で死んでいくんだ」という言葉をささやきます。
彼は物理の教師モニトフ先生にドクロうさぎが口にしたタイムトラベルについて質問した際に「参考までに…」とある本を手渡されます。「タイムトラベルの哲学」というタイトルがついた本の著者はロバータ・スパロウ(死神オババの本名)の名がありました。
ドニーは死神オババが書いた本と出会ってからかなりインスパイアを受けたようです。フランクが死神オババに引き合わせたとさえ考え始めるドニーはタイムトラベルを実現しようと奔走し始めます。自分たちのデロリアン(「映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるタイムトラベルできる車)を探すかのようです。自分とグレッチェンで「世界の終り」が来る前に別な時空に逃げようと考えたのでしょう。(グレッチェンも訳アリの人生を送っていました、小さい頃から父親の暴力で悩んでいてよい思い出などはない女の子でした。)

そして迎える「世界の終り」

うさぎが告げた残りの日時に近づき、ドニーは焦りだしています。国語の教師カレン先生が言った最も美しい英単語”CellarDoor(地下室の扉)”も彼の中で気にかかっているよう….時間旅行が出来る入り口と捉えていたのかもしれません。
ドクロうさぎが「あと28日...」と言ったその日(10月30日)とその前日はドニーの身にさまざまなことが一気に降り掛かってきます。母親はロスで開催されるドニーの妹のダンスコンテストの付き添いで留守にしていました….当初はファーマー先生が同行するはずでしたが、ドニーが放火した事件の際にジム・カニングハムが別件で罪に問われ(児童ポルノ関連の出版物が火災後の家から発見されカニングハムは逮捕された)「恐怖克服セラピー」信者のファーマーが罪状認否の日に釈放運動に立つことになったので、その代わりにドニーの母がLAに同行したのです。父親も出張で不在なのでドニーの母親は心配ながらも役を引き受けます。
ドニーの姉がハーバードに合格したというのでささやかにパーティをやることになりました。(実際、全然ささやかでもなかったのですが)
姉の友人を呼んでどんちゃん騒ぎ。そのさなかにやって来たグレッチェンは家に彼女の父親がやってきて面倒なことが起こった模様、そんな中で二人は自宅の2階で目眩く時間を過ごします。
その余韻も覚めやらぬまま、ドニーは「世界の終りから逃げる為に入口に向かわねば!」とばかりに頭にあった”CellarDoor(地下室の扉)”をめざし死神オババの家にグレッチェンと向かいますが、またまたひと騒動に巻き込まれ目の前でグレッチェンが車にひき殺されてしまったのです。車から下りてきたのは、うさぎの着ぐるみを着た姉のボーイフレンド フランクでした。世界の終りとはグレッチェンの死だった...?
彼はグレッチェンを抱きかかえ車に乗せ...ふと見上げると自宅上空に黒い煙が見えますーーーー黒煙はロスから戻る母親と妹が乗っている飛行機から出ているものです。
凄い勢いで車を走らせ冒頭のあの山道に向かうドニー。焦りながら車を走らせるこのシーンはまさに映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」っぽい。空は黒煙が渦巻き風景はまるで地獄図、それこそ空が割れて落ちてくるような恐ろしさ。
「もし過去に戻れて辛い思い出を楽しいものと交換できたら」
車に乗り込むと眠るように息絶えているグレッチェンの声がドニーには聞こえます。それは以前彼に言っていた言葉でした。
「帰ろう」
ドニーは呟き再び我が家に車を飛ばします。自室のベッドに横たわり歓喜の笑い声をあげています...まるで赤ん坊が胎内にいるときのように丸まって横たわる彼。
1988年10月2日、飛行機のエンジンが民家に落下し、ドニー・ダーコという1人の少年がその犠牲となりました。

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筆者なりの真相をまとめてみる

10月2日という日にドニーが落下して来た飛行機のエンジンの下敷きになりこの世に存在しなければ、グレッチェンと出会うこともなかったし彼女の死もなかった。
また、ジム・カニングハムのポルノ事件も存在しなくなるので彼の母親と妹が飛行機事故の犠牲になることもなかったでしょう。
ラストで流れるTears for Fearsの「Mad World」とともに、ダーコ宅から白いシートを掛けられたドニーの遺体が運び出されるシーン。
嘆き悲しむ家族の姿….少し離れた場所に自転車をとめてその光景を見ている女の子はグレッチェン。
果たして、本当の名前もグレッチェンであったかどうかすら分かりません。
グレッチェンが会ったこともないドニーの母親に手を振ると彼女も手を振り返し微笑みを浮かべます…その目は何か同じ気持ちを共有している者同士といった視線です。異次元でのわずかな記憶の名残りなのでしょう。
母親だけが、涙を見せるでもなく淡々とタバコを吸っているのもこれまた不可思議さを醸し出しています。
ドクロうさぎの姿は、姉のボーイフレンドであるフランクが描く絵からドニーがインスパイアされ創造からできた生き物だと思います。以前、フランクの描く絵をドニーが見せてもらったことがあったとも考えられます。
ラスト近くのシーンでフランクの部屋の様子が映り、そこにはフランクが描いたと思われるうさぎのドローイングとシルバーのオブジェのようなものが置かれています。

些細な充足感

やはり感じたのは、個人レベルの小さな出来事も政治的な一大事も1人の人間の振る舞いでその後の事象を揺るがすものになるということです。ここにも「バタフライ効果」ですね。
1988年の大統領選挙で、デュカキスが当選していたら?湾岸戦争は起きていたのでしょうか?そう、歴史も大きく変わったことでしょう。
近隣の人々にしか名前も知られていないドニー・ダーコという青年が旅客機の墜落事故にあって亡くなったことで、彼の周囲は変わりました...大統領選とはレベルは違えども。
この映画に惹かれるのはなぜか。「世界の終り」を恋人とともに回避するため奔走していた主人公が「本当の世界の終り」は「自分の死」であることを悟るという残酷、そして家族や恋人を救う為にみずから「死」を受け入れるという行動です....幼い頃飼っていた犬がポーチに潜って死んだというドニーが話した逸話のように静かに。
運命の存在を信じるか否かにかかわらず、自ずと「死期」を悟り、死に場所に落ち着く本能的な何かに従い行動するものなのでしょうね。
人は自分が小さなことを他者にしてあげたという「ひとりよがり的満足感」や何か「納得いくように行動できた」という充足感で毎日を生き延びている、そのように思います。納得いく一日を過ごせた日は、安心して床につくことができます。
10月2日の朝、真実を知り自分のベッドに戻った時のドニーの無邪気な笑いはそれに似たような気持ちだったからでしょう。
今、小学生でさえ軽々しく「死にたい」とか「死ね」などと口にするのを聞きます。10代でみずから死を選ぶ人たちは自らの死を受け入れた上で死んで行くのでしょうか?死がどのようなものかわからずに死んでいくのであったなら....悲しいですね。

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最後に
この映画を「青春映画」と観ますか?「SF」映画?
それとも「サスペンス」??
うーん。ひとくくりに納めてしまうのはしまうのは難しい映画かもしれないです。
リチャード・ケリー監督、インタビューで尊敬する監督を多数挙げていました。
所々に好きな監督へのオマージュという風合いのシーンがいくつかありました。
例えば、ジム・カニングハムのショーでのスパークル・モーションと称した少女たちのパフォーマンス(DURAN DURANの「ノトーリアス」の曲にのって踊るシーン)の場面、今から何かが起こるのではないかというドキドキ感とその場のライティングの色合いからブライアン・デ・パルマの「キャリー」の例の豚の血のシーンのイメージで創られていることが伝わってくるし、ラスト近くでドニーが道路を凄い勢いで車を走らせるところは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を喚起させられました。
(まだ、何か書きたかったのですが...思い出したら追記します)
長くなりました....ここまで読んでくださった方に感謝です!





2013/11/18

「ドニー・ダーコ」 この映画をどう見るか?

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ここ最近ブログに映画の感想を書いていて思うのですが、夢落ちの作品って結構あるものですね。

それとタイムスリップものも ——— 昨日偶然ツィートしましたが ——— かなりありーの、精神的な病を抱えていて幻覚を見ているといったストーリーのものも結構ある...かな。

だいぶ前の作品になりますが「ドニー・ダーコ」という作品を語ろうとしております。

この映画は見る人に「どのストーリーを取るかを委ねる」という形をとっていて(私はそう思います!)公開当初の興行収益がメタメタなのにDVDで発売後に一気に話題が話題を呼びました。

作品をSFと解釈しても、夢落ちと見ても、主人公が抱える精神的な病のなせるものとみなしても自由です。

正解、不正解はありません、映画は本来そういうものだと理解しています。創る側はある問題を映像で提起しながら見る側に1つの作品としてぽいっと投げかけ、その後はどのように受けるかはその人たちの感性に委ねられます。

シンプルに見る人もいる、主人公の深層心理やシーンごとの意味など深い部分まで入り込んでみる人もいます。

「ドニー・ダーコ」は2001年1月にサンダンス映画祭で初お披露目され好評を博したものの、同年10月全米公開時は時期も9.11に重なり振るわずの結果になりました。

ちなみにタイムスリップ、夢落ちもの関連として「マルホランド・ドライブ」は2001年10月に全米公開。「バタフライ・エフェクト」は2004年1月全米公開となっております。要はこれらの映画より先に創られていたということをいいたいワケです。


監督のリチャード・ケリーさんは「サウスランド・テイルズ (2007)」や「運命のボタン (2009)」などの作品を生み出しておりますが、それほど話題にはならなかったようです。

独特の感性とセンスを持っているように思うので”「ドニー・ダーコ」の監督”で終わらないように期待したいです。


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さて、劇場公開して振るわなかったのですがDVD発売後、若い人たちから支持を集めリピーター続出。うなずけます!

不気味なドクロ顔の着ぐるみウサギ、精神不安定な主人公、登場する大人たち、飛行機事故、空がぽっこりと穴をあける、発達途上の青年が持つ屈折した心象風景、カオスな空気...などなど若者じゃない私もそそるものてんこ盛り!

見終えた時、一度で理解しうる内容じゃない。それどころか見るたび自分の中で話がころころ変わってくること必至です。

自分的には、ジェイク・ジレンホールがまだ20歳かそこらで若くて若くて…今に至る前の8割がた今のジェイクかなーって発展途上のお顔。コロコロと変わるジェイクが演じるドニーの人相も見ものですね。

そして実姉のマギー・ジレンホール(「ダークナイト」出演)と共演 ——— しかも姉弟という実際の設定 ——— してるってことでそれも見どころかなと。

そうそう、あとは「ミスター・ダーティダンシング(!)」の今は亡きパトリック・スウェイジです。(”She's like the wind”を聴くたび涙が出ます。)

彼は自分の持つ特徴をちゃんと理解しつつ、スパーッとそれまでの好青年っぽい爽やかなイメージを脱ぎ捨てて役になりきっています。

製作側にもクレジットされているドリュー・バリモアも他の大人とは少し違った先生という役を演じております♪

極めつけは、音楽!!

冒頭のエコバ二から始まり、そしてティアーズ・フォー・フィアーズ、デュラン・デュラン。

舞台が'88年ですから、80'sですわよー♡







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ストーリー

マサチューセッツ州に住む高校生のドニー・ダーコは優秀な姉とダンスが得意な妹を持つ平凡な家庭に暮らしていたが、精神が不安定なため医師の治療を受けている。そしてある晩、奇妙な声に導かれてゴルフ場へと向かうと、そこにはフランクという名の銀色のウサギがおり、「世界の終わりまであと28日と6時間と42分12秒しかない」とドニーに告げる。翌朝、ゴルフ場で目覚めたドニーが家に戻ると、ジェット機のエンジンが彼の家を直撃していた。学校ではグレアム・グリーンの反社会的な小説のテキストを教える教師が問題になり、また一方では精神的に正しい生き方をレクチャーする信念を持つ教師がいる。ドニーは水道管をこわして学校を水浸しにし、生徒の精神的指導を行っている教師のカリスマ的指導者が実は児童ポルノと関係があることを暴く。世界の終わりについて理科の教師に聞いてみると、それにはどうもタイムトラベルが関係あるらしい。そして世界の終わりの日、ハロウィンの夜、ドニーの母の乗ったジェット機のエンジンが過去のドニーの家を直撃し、ドニーはその世界では死に、ガールフレンドも彼の記憶を失っている。
神への疑念、アメリカが求める画一的な理想へのアイロニカルな視点、統一的な価値観への恐怖、等がうまく機能し不可思議な余韻を残す。


(Wikipediaより)
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スタッフ
監督      リチャード・ケリー
脚本      リチャード・ケリー
製作      アダム・フィールズ、ショーン・マッキトリック
製作総指揮      ドリュー・バリモア、ナンシー・ジュヴォネン
キャスト
ドニー・ダーコ:      ジェイク・ジレンホール
グレッチェン・ロス:      ジェナ・マローン
カレン・ポメロイ:      ドリュー・バリモア
ローズ・ダーコ:      メアリー・マクドネル
エディ・ダーコ:      ホームズ・オズボーン
ジム・カニングハム:      パトリック・スウェイジ
リリアン・サーマン医師:      キャサリン・ロス
ケネス・モニトフ医師:      ノア・ワイリー
エリザベス・ダーコ:      マギー・ジレンホール
フランク・アンダーソン:      ジェームズ・デュヴァル
ロナルド・フィッシャー:      スチュアート・ストーン
作品情報
アメリカ公開  2001年1月19日
日本公開  2001年8月31日
上映時間      113分
製作国      アメリカ
製作費      $6,000,000
興行収入      $1,270,522
…とここまで書いて
わたし的「ドニー・ダーコ」をどう見るか。。。は
お仕事帰って来て、夕飯後ゆっくりしてからupすることにします。長くなりそうなので...今さらながらではありますが^^;
その時は、ネタバレありってことで。
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別件ではありますが
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参加してまーす!



2013/11/11

スティーブ・ブシェミ監督作です...「アニマル・ファクトリー」

あれ?このポスター変?エドワード・ファーロングの顔が違うっぽい(なにやらコリー・フェルドマンみたい!)し、ミッキーロークが昔の顔だし冷や汗

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ストーリー
大麻所持で刑務所に入れられたロン(エドワード・ファーロング)は刑務所でアール(ウィレム・デフォー)に目をかけられ、アールと彼のとりまきといつも一緒に行動するようになる。アールは頭もよく刑務所の古株で、みんなから頼られる存在。ロンは次第に皆と打ち解けはじめるが….。

スタッフ
監督 スティーヴ・ブシェミ
製作 スティーヴ・ブシェミ、エリー・サマハ、ジュリー・シルヴァーマン、アンドリュー・スティーヴンス
原作・脚本     エドワード・バンカー
撮影     フィル・パーメット
音楽     ジョン・ルーリー

作品データ
原題      Animal Factory
製作年      2000年
公開      2000年10月 アメリカ(日本未公開)

出演
     エドワード・ファーロング  
     ウィレム・デフォー  
     ミッキー・ローク  
     シーモア・カッセル  
     スティーヴ・ブシェミ  
     トム・アーノルド  
     ジョン・ハード  
     ダニー・トレホ  
     クリス・バウアー  
     マーク・エンゲルハルト

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【塀の中は自分のお尻を守ることが必須なのです】
ひと言で言ってしまえば、牢獄の中での人間模様を描いた囚人もの。
囚人たちが脱獄を企てて、やんややんや大騒ぎ...
なーんて...そういうお話ではありません。派手なアクションや映画開始30分でストーリーの変化を求める方は若干眠くなるかも。
「何か起こるな」って気配を醸し出しつつ、とりたてて大きな事件は起きません。
スキンヘッドのアール(ウィレム・デフォー)は眼光鋭く、頭も良くて囚人たちだけではなく、看守からも一目置かれるる存在。
そんなアールが新入りのロン(エドワード・ファーロング)に目をかけ始めるのですが、最初はやっぱり美青年のロンの尻目当てだと思われ...アールもロンを常に近くに置いておきたいが、ロンのほうも自分のお尻の危機感を常に感じていて少しばかり距離をおいていました、何か自分を助けてくれそうな空気を感じとってはいたのだけれど。
それにしても、アメリカの牢獄って大変ですよね、おちおち寝てもいられないですわー。
監督のスティーヴ・ブシェミは囚人の役ではなくて地味なちょい役でした。
何と言ってもミッキー・ロークがいい味出してましたね、おかま言葉にドラッグ・クィーンっぽい容姿、常に真っ赤な口紅につけまつげしてブラジャーしてました。
前歯がなくて、なんか話すときすーっと空気が抜けるっぽくて。
モテモテの頃のロークと今のすがたのになるちょうどはざまの時なのかなーって思いました。
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アールは次第にロンに対して自分の若い頃の姿をみたのか(ロンも普通の囚人とは何か違う頭の良さをもっていたから…)外に出してあげたいって気持ちになるんですね。
最後が、とてもよかったです…ウェレム・デフォーの表情、佇まい。余韻が残る演技がほんとよかった!
アールはロンに対する想いが恋心から親心のようなものに変化していった、どうやらそんなところです。
「アニマル・ファクトリー」っていわずもがな囚人たちがいる牢獄のことなんだけれど、そこでアニマルになる前にロンを外に出してあげたかったんでしょうね。
それにしてもアール(Earl)…ウィレム・デフォーの役名ですけどね…の発音が難しいですよね、話はかなりそれてますが。
ブシェミ監督作品の「トゥリーズ・ラウンジ」ほどまではいかないけれど、わたくし的には十分楽しめてよい作品でした。
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2013/11/09

「ウェンディ&ルーシー」— 孤独な若者はなぜアラスカをめざすのか


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昨日、昔の雑誌(LGBTの某雑誌)でヒース・レジャーのインタビュー記事を読んでいました。
ミッシェル・ウィリアムズとの撮影の時の思い出やその他「ブロークバック・マウンテン」の演技のことを語っている、今にしてみれば貴重なインタビュー記事です。やっぱりこの人は考えるタイプの役作りをするヒトじゃないんだなーなんて考えてました。
それにしても20代の若さでラストシーンの40代の男を演じきっているのは凄い。ただ、あのシーンで40代にしては瞳が濁っていないよなぁって思うくらい。
そんなこともありーので、ヒース繋がりでミッシェル・ウィリアムズの「ウィンディ&ルーシー」という映画を観ました。

ストーリー
ウェンディ(ミッシェル・ウィリアムズ)は愛犬ルーシーとともにアラスカを目指して旅をしています。車が故障し小さな田舎町に停まらざるを得ない事態になってしまいます。
ルーシーを外に待たせて町のスーパーで買い物していた彼女。お金を払わずに店を出てしまい店員に呼び止められ警察に連れて行かれたりで、数時間愛犬をひとりぼっちにしたままになってしまいました。その間にルーシーの姿は消えていました。必死に愛犬ルーシーを探すウェンディですが…。

スタッフ
監督      ケリー・ライヒャルト
脚本      ケリー・ライヒャルト
製作      ラリー・フェセンデン、ニール・コップ

キャスト
ウェンディ:ミシェル・ウィリアムズ
警備員:ウォルター・ダルトン

作品情報
原題      Wendy and Lucy
製作      アメリカ
公開      アメリカ公開 2008年12月10日(日本未公開)

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ミッシェル・ウィリアムズのブラウンの髪ってあまり見ないので新鮮でした、しかもショートヘア。少女と少年が共存してるような雰囲気を醸しだしていてかわいいです。
(ジェーン・バーキンっぽいです、なんとなく)
ストーリーで惹く映画ではないです、この作品。音楽だってないに等しい、時々口ずさむ彼女の鼻歌が流れるだけ...なんとなくドキュメンタリーっぽい効果がでてる。
これがまたよろし!
ウェンディに何が起こってアラスカをめざすのか...説明がなくて状況がわからない。けど不思議です、年齢も境遇も違う主人公に感情移入してしまいます。青春まっただ中で自由に旅するウェンディがうらやましくもあるのです。

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途中で出会った南へ向かう若者の中の1人にアラスカでの勤め先を世話してもらえてラッキーだと思えば、次は車の故障で足止め。
あげくは、唯一の友達でもある愛犬ルーシーがいなくなってしまったり。
お金をきちんと持って楽しむ旅と違って、「手持ちの残金がいくらで…」と計算しながらのぎりぎり状態に次々起こる不測の事態。
孤独で心細い感が伝わってきます。
それにしても、女の子ひとりでアラスカ目指しての旅なんて、普通では考えられない…行動したくてもそんな勇気がない。
で、どうしても余計な心配してしまうのです、お金がない女の子がこの先旅を続けるためにはやっぱり「女を武器にして」とか。
タイトルは「ウェンディ&ルーシー」だけれど、犬と飼い主の涙を誘う物語でもありません。
ひとは一日一日を懸命に生きていて、ちょっと幸せな時もあれば、不幸な日もある。
小さな町での彼女の数日間は、だれにでも共通するさまざまな日々の移ろいでもあると思います。
そして映画の中ではさまざまな人間と出会いますが、悪党などは全く登場しなくて普通に生きているひとだけです。

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うーん。
ただ最後、せっかくルーシーと会えたのにこうなっちゃう?ってカンジで。
このあたりの状況はとても切なかったです。
反面、彼女がありきたりの安易な方法でお金儲けに走ったりしなくてよかった。私の心配し過ぎでした^^;
こういう調子のただただまったりと展開する映画って好きです!
少々停滞型のロードムービーとも言えるかも。
出演者はミッシェル・ウィリアムズしかわかりませんでした。
ただ、車の修理工場の工場長みたいな男は「依頼人」の悪い警官役のひとでした、多分。
(ブラット・レンフロにスプライトの缶を渡して指紋をとってしたり顔の男!)
「イントゥ・ザ・ワイルド」にしても
なぜ、孤独な若者はアラスカをめざすのでしょうか。





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2013/11/05

イントゥ・ザ・ワイルド

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ジョン・クラカワー原作「荒野へ」の映画化です。
クラカワーの原作本は読んでいました。クラカワーがアラスカで腐乱死体で発見されたクリストファー・マッカンドレスという青年に興味を持ち、クリストファーがアラスカにたどり着くまでに出会った人々、彼を知る人たちや家族から聞き取りしたことを一冊の本に纏めたのが原作本になります。
当初この本が「アウトサイド」という雑誌に掲載されるや否や何ヶ月間も多くの手紙などが送られてきたといいます。
「彼は一体なんてバカで愚かものなんだ」というものと「理想を貫き通した立派な若者だ」という二通り..賛否両論です。
この本を読んで映画化を望み、感動して自らメガホンをとりたいと考えたのがショーン・ペンです。原作本を感動のあまり何度何度も読み返したそうです。彼の熱意はこの作品に素晴らしい映像となって見事に返り咲いています。私は本で読むよりも映像で見るほうがしっくりはいってくる気がしました。
やはり目の前に広がる壮大な自然の中の人間という非力で小さな存在がきっちり映像として描かれているからだと思います。
ショーン・ペンの作品にこめた愛情と主人公クリスへの深い共感がよく伝わってきます。

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撮影はエリック・ゴーティエ。そう、モーターサイクル・ダイアリーズの撮影を担当した方です。
DVDの特典映像でペンのインタビューがあって「『モーターサイクル・ダイアリーズ』のように大自然を撮りたいんだ。だからゴーティエに真っ先に話を持ち込んだ」っぽいことを熱く語っていたました。ちなみに彼が撮影した作品では「そして僕は恋をする」(1996)も好きです、私!

ストーリー
優秀な成績で大学を卒業したクリストファー(エミール・ハーシュ)はある日、家族にも何も告げることなく車やお金を捨て、放浪の旅に出る。道々短期間の労働とヒッチハイクをし、さまざまな人と出会いながらアメリカから目的地アラスカへと北上する。アラスカの人気のない荒野へと分け入り、捨てられたおんぼろバスのを拠点に生活をはじめるのだった。

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キャスト
クリストファー・マッキャンドレス:エミール・ハーシュ
ビリー・マッキャンドレス:マーシャ・ゲイ・ハーデン
ウォルト・マッキャンドレス:ウィリアム・ハート
カリーン・マッキャンドレス:ジェナ・マローン
ジャン・バレス:キャサリン・キーナー
ウェイン・ウェスターバーグ:ヴィンス・ヴォーン   
トレイシー:クリステン・スチュワート   
ロン・フランツ:ハル・ホルブルック
レイニー:ブライアン・ディアカー

スタッフ
監督・脚本      ショーン・ペン
原作      ジョン・クラカワー『荒野へ』
製作      アート・リンソン、ショーン・ペン、ウィリアム・ポーラッド
撮影      エリック・ゴーティエ
編集      ジェイ・キャシディ

作品情報
原題      Into the Wild
公開      2008年9月6日(日本公開)
上映時間      148分
製作国      アメリカ

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物質社会からの脱却

多くの指摘の通り、彼の行動は思い上がりや親への当てつけ、若さゆえの無謀な行為に思えます。クリスは映画の中で「文明に毒されないように生きてきた…精神の革命を成し遂げる」と言っていました。なぜ文明に毒されたくなかったのか?
クリスと同じくらいの年齢の若者は旅に出ることは考えても物質を切り捨てることは考えもしないことでしょう。
つまるところ、やはり彼の思考の中には父母への反抗が渦巻いているのだと思います。
両親の離婚、家族のもめ事、そして自分が父親の私生児だということを知ったときの絶望感。すべてにおいてお金で解決する両親。
おそらく物質社会への嫌悪感=両親への嫌悪感だったのでしょう。
「文明に毒されないように生きる」と言う彼ですが、本に毒され過ぎていたようにも受け取れます。
彼はまだまだ20代前半のいわば頭でっかちの青二才。
しかし、彼には誰にもできないような確固としたもの、目的意識に基づいた行動力がありました。
またクリスは
「人生で必要なことは実際の強さより、自分を強いと感じる心だ。」とも言っています。これって、私はチェ・ゲバラの本でチェが似たようなことことを言っていたので「なるほどー」と感心した言葉なのですよね。
そのゲバラでさえ、若い頃の旅ではお金を持ち歩いていましたが、クリスは学資金として親が送っていたお金をある団体に寄付し、残ったお金も旅の始めに燃やして出発しています。
まるで、今まで生きてきた自分を抹殺するように…
彼は、この旅の途中から自分の名前を”アレクサンダー・スーパートランプ”と名乗るようになります。

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さまざまな出会い

ヒッチハイクしながら、途中で何ヶ月かの短期間労働でお金を稼いで旅を続けていたクリス。
さまざまな人々との出会いがあります。
彼は、親を拒絶はしていますがすべての人を否定している訳ではなく、人一倍のコミュニケーション能力も持ち合わせています。
相手の傷みをすぐに理解してその心を癒すような言葉と人懐こい性格にクリスと出会う人びとはみな惹かれていきます。
ヒッピーの中年カップル ジャン(キャサリン・キーナー)とレイニー(ブライアン・ディアカー)、大農場で大勢の労働者の中心になり働くウェイン(ヴィンス・ヴォーン)、ヒッピーのベースキャンプで出会った女の子トレイシー(クリスティン・スチュワート)、退役した老人ロン(ハル・ホルブルック)。
なかでも私はジャンとのエピソードが好きです。彼女は何の連絡もないまま消息を断っている若くして生み育てた息子がいます。クリスに息子の面影を重ねていて彼もジャンの心のうちをしっかり理解して息子のように接しています。

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クリスはウェインを特に慕っていたようで、彼に自分と似ている部分を見いだしていたような感じがしました。
クリスを気に入っていたヒッピーキャンプの歌姫 トレーシーに「夢は手を伸ばしてつかむんだよ」と別れ際に言った言葉がとても響きました。そういう彼自身は物質社会を抜け出し何に到達しようとしていたのでしょうか。

待ち受ける壮絶なラスト

クラカワーの原作本を読むと、いよいよアラスカの荒野に入る前に親しい人たちと別れる際に泣いていたとの証言がありました。
ウェインに「これがぼくのさいごの手紙になるだろう…あなたはすばらしい人だ。ぼくはこれから荒野へ入っていきます」という内容の手紙をしたためていました。
彼は死ぬために荒野へ入っていったのでしょうか?

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彼が亡くなってしまった今、クリスの本心を知る人はいません。
彼の旅は成長の為の一歩であり、アラスカでの経験やアラスカまでの旅を経て他者との関わりを知り、やがて素晴らしい相手と巡り会い結婚し人生の辛苦を味わいひとの親になり、やがて自分の親の気持ちも少しずつ知って行っただろう。。。これはあくまでも私の中で旅を無事終えたクリスのその後を勝手に思い描いてみた想像です。
クリスは慎重な性格でした。アラスカの荒野で暮らす為の知識も事前に書物で身につけていました。
書物を読むだけでは成功を得られないということをおそらく失敗を経験して知ったでしょう。
彼は荒野に閉塞状態になり身動きがとれなくなった時、誰かに助けを求めるためのSOSの文書も残しています。
そして
幸福が現実となるのはそれを誰かとわかちあったときだ
衰弱したからだでトルストイ(だったかな...)の本に書き込むクリス。
気がついたときはすでに遅すぎました。
最期のシーンが壮絶で...自分も死の直前はあんな風なのかと息をころして見ました。
悲しすぎるラスト。
エミール・ハーシュ、大作に出ているわけでもなく日本ではあまり知られていないけれど演技派ですね。
実物のクリストファーとエミールが同一人物であるように錯覚するほどでした。
ウェインを演じたヴィンス・ヴォーンももっと評価されるべき俳優でしょう。

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若い頃というのは、いくつかの間違いを経てその経験から成長して行きます。
クリスは、不幸なことに自身の命を落としてしまう致命的な間違いを犯してしまいました。
私はそんな彼を愚か者とは思えません、彼はたまたまアンラッキーだったのです。クリストファー・マッカンドレスのアラスカまでの一連の旅はそのような安易な言葉では表わされないものだと感じます。
最後に是非ブルーレイで鑑賞することをおすすめします!



#ロードムービー

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*ショーン・ペン

2013/11/03

「オズはじまりの戦い」感想

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先月、家族で出かけたときにホテルで初めて見たのです、
「オズはじまりの戦い」
息子と見ていたものですから、吹き替え版でした…息子、早く字幕で見るようになってくれ~
...字幕云々は置いておいて、とにかく一発で気に入りました!大好きな1本になりました!!
��結論からいきなり言ってしまいましたが。)
帰宅後早速レンタルして字幕で見て、やっぱDVD欲しいわ~ってなり手に入れました♪
私、やっぱりサム・ライミってすごい監督さんだなって感じました。
スパイダーマンシリーズ、クイック&デッド、スペル…ポゼッション(2012)は監督じゃなかったっけ。。。
スパイダーマンシリーズはサム・ライミ作品ってことで私の頭にインプットされております、はい。

20代とか30代になったばかりの頃の私は、こういうファンタジーっぽい作品見て感動するなんてあり得なかったな。
年取って、だいぶ間口が広くなりましたね....

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ストーリー
1905年カンザス。小さなサーカス団で働く魔術師のオスカー。(ジェームズ・フランコ)女好きでペテン師の彼は、女好きが高じていざこざに巻き込まれ逃げ込んだ気球が竜巻に飛ばされてしまう。たどり着いたのが理想郷オズ。しかし、そこは邪悪な魔女の支配におかれる場所。住む人々は予言書に書かれた魔法使いオズが国の救世主であると信じていた。ニックネームのオズを名乗っていたため、救世主だと勘違いされてしまったオスカー。西の魔女セオドラ(ミラ・キュニス)に出会い、彼女に紹介された東の魔女エヴァノラ(レイチェル・ワイズ)に南の魔女グリンダ(ミシェル・ウィリアムズ)の退治を頼まれてしまう。
キャスト
オズ(オスカー・ディグス)      ジェームズ・フランコ
南の魔女グリンダ/アニー      ミシェル・ウィリアムズ
東の魔女エヴァノラ      レイチェル・ワイズ
西の魔女セオドラ      ミラ・キュニス
フィンリー(声)      ザック・ブラフ
陶器の少女(声 )    ジョーイ・キング

スタッフ
監督      サム・ライミ
脚本      ミッチェル・カプナー、デヴィッド・リンゼイ=アベアー
原作      ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』
製作      ジョー・ロス
作品情報
原題      Oz: The Great and Powerful
公開      2013年3月8日
上映時間      130分
製作国      アメリカ
言語      英語
製作費      $200,000,000
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【1939年のオズの魔法使いの関連性】
1939年代の「オズの魔法使い」。
ぽっちゃりした女の子ドロシー(ジュディ・ガーランド)がお家とともに嵐で飛ばされ、ある場所にたどり着いて(そこがオズ)かかしとブリキとライオンと出会い大冒険っていう展開で映画の中で歌うシーンが出てきますね、ジュディ・ガーランドが「なんちゃら Rainbow」とか。(タイトル、忘れちゃった^^;)
「オズはじまりの戦い」はむかしむかしのジュディ・ガーランドの「オズの魔法使い」の物語をベースにしているのだと思いきや、違っていたようですね。
映画を見ながら、「あれ?全然話が違うんでないの?」って思ってました。
そうなんですね。リメイクとかでは全然なくて、企画的には想像もできないような「男の主人公でおとぎ話を作りたい」ってノリだったようです。
「オズの魔法使い」は1939年のあのミュージカルで十分だと思うのです。
だって、あの映画って「すごい!」って讃えられていて、揺るぎないファンがいっぱいいるみたいですし。
ドロシーが主人公の「オズの魔法使い」に繋がるお話ってカンジでいいんじゃない?
「オズはじまりの戦い」はあくまでもあの映画のオマージュをサム・ライミが作った…って理解しました。

「スパイダーマン」のグリーン・ゴブリンはもしかして「オズの魔法使い」の悪い魔女が黒い煙をまき散らしながら空を飛び回るシーンをイメージしてつくられているのかなとも考えられました。
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【登場するキャラクターの可愛らしさとCGに拍手!!】
とにかく、サルのフィンリーと陶器の女の子がかわいくて仕方なかったです。
フィンリーの表情がいい!目と口元の動きがかわいくて。あの2人(?!)が出てくるシーンは何回も見たくなるほどです。
陶器の女の子がオズに抱っこされた時、サルも「抱っこして」って手を伸ばすシーンが微笑ましかった…
ポピー畑でのバトルのところとか花火のシーンも色彩が素晴らしすぎて。CGだってわかってるんだけど感動しますね、やっぱり。泣いちゃいましたもん、毎回だけど!
花火シーンとオズのトリックシーンもよかったし、一度、3Dで見てみたいなーって思いました。
��あまり3Dに興味がない自分が!)
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【ジェームズ・フランコ演じる主人公オズ】
ジェームズ・フランコの演技もいい!あの怪しげな信用ならないペテン師的な笑いが特によい!!
スパイダーマン3でもステキだったけどね♥
よく考えれば、女好きのオズの性格が元凶で西の魔女セオドラが憎しみのためにあんな風になってしまったとも言えます。
でも、オズの性格が....女にだらしないくて頼まれるとイヤといえないその場しのぎのことを言ったり....そういう人間だからこの映画が引き立つのだと感じるのです。完璧な男だったら面白くないんじゃないかな…と。
それにオズという国が平和になるハッピーなエンディングに併せて、オズという名の(正式にはオスカーだけど)1人のおとこが人間的に成長して立派になっていくお話ともいえます。
三人の魔女を演じた女優たちもそれぞれ魅力炸裂だったけれど、なかでもミラ・キュニスの変化が賞賛ものでした。
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「オズはじまりの戦い」はなんとなく自分が思っているほど巷では評価されていないようです。
でも、私はこの映画が好きです。
見ていてわくわくしますもの!

 
*ディズニー

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