My Cinema Talk World: 1月 2014

作品インデックス

2014/01/26

ゴーストワールド ー シュールでもの哀しい不思議な世界



だいぶ前に(7、8年前かなぁ)「The World of GOLDEN EGGS」(ザ・ワールド・オブ・ゴールデン・エッグス)というアニメが流行って録画しながらいつも大笑いしながら観ていました。結局DVD全巻そろえちゃったりしてすごくハマりました。そのアニメのキャラクターにリサ&レベッカという女の子たちがいましたがレベッカのモデルになったのが「ゴーストワールド(2001)」に出てくるソーラ・バーチが演じるヲタク系女子のイーニドなのです。私、実はゴールデン・エッグスを観ただいぶ後に知ったのですが確かにキャラがそっくりです(笑)

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ゴーストワールド(原題: Ghost World)

監督:テリー・ツワイゴフ / 製作年:2001年


レベッカはバナナシェイクが好きだったけれど、イーニドはバナナシェイクを知らなかったり...仲良し2人組なのに、よく見ると格差がある、そんなところも笑えるし社会の歪みを感じます。
ゴールデン・エッグスではターキーヒルズという町が舞台でしたが、この映画では町の名前までは出てきません。
イーニドの親友レベッカを演じるのがスカーレット・ヨハンソン。
2人ともかなりのグラマラスばでぃなんですよね。
で...あのお方も出るんですよ、大好きなMr.ブシェミときめき
その上、今は亡きブラッド・レンフロがまたまた気の弱いいじめられっ子役で、いつもイーニド&レベッカにかまわれ、コンビニの店長に怒られたり挙げくはさえない中年オヤジ(スティーブ・ブシェミ)に喧嘩を売られたり、ほんとかわいそうな男の子です。

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ストーリー
ロサンゼルス郊外の退屈な町に住むイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)は幼馴染みで高校を卒業したら一緒に住む約束をしていた。卒業後、出会い系広告に名前を載せていた男をからかい半分にダイナーに呼び出す。男の名前はシーモア。彼はブルース・レコードのコレクター(ヲタク)でイーニドと同じく世間に馴染めずにいた。イーニドは少しずつシーモアと親しくなっていく。
レベッカはコーヒーショップで働き始めるが、働きながら一人暮らしをしようとする彼女と、なんとなく世の中に馴染めないイーニドは段々とすれ違っていく。

キャスト
イーニド      ソーラ・バーチ
レベッカ      スカーレット・ヨハンソン
シーモア      スティーヴ・ブシェミ
ロベルタ      イリーナ・ダグラス
イーニドの父親      ボブ・バラバン   
ジョシュ      ブラッド・レンフロ
マキシン      テリー・ガー   
ダグ      デイヴ・シェリダン   
ジェラルド      デヴィッド・クロス

スタッフ・映画情報
監督      テリー・ツワイゴフ
脚本      ダニエル・クロウズ
テリー・ツワイゴフ
製作      ジョン・マルコヴィッチ
ラッセル・スミス
リアンヌ・ハルフォン
製作総指揮      ピッパ・クロス
ジャネット・デイ
音楽      デヴィッド・キティ
撮影      アフォンソ・ビアト
編集      マイケル・R・ミラー、キャロル・クラヴェッツ・アイカニアン
公開      2001年7月20日(アメリカ)、2001年7月28日(日本)
製作国      アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ
製作費      $7,000,000
興行収入      $6,200,000
原題      Ghost World

GhostWorld1.jpg


ゴーストワールド
今さら言うのもアレですが。これ、ぜったい的傑作です手
自分の中でも琴線を刺激されまくり涙もこみ上げさせられる「わたくし的カルト映画」だと断言させていただきます。
コミックが原作でキャラクターやファッション、音楽もセンスがいいのです。
が…それ以上に深いものを残しつつ何か考えさせられる実によい作品です。
監督さんは、「Bad Santa(2003)」などのテリー・ツワイゴフ。
もともとダニエル・クロウズのコミック作品を映画化したものです。
製作はなんとジョン・マルコヴィッチなんですよヤッタv
この映画、息子と観ていて 
「で?ゴーストワールドっていったいなんなの?」
って訊かれたんですね、息子に。
でも、結局観る人によってそれぞれの”ゴースト・ワールド”があって説明できないんですね。
特典映像でスティーブ・ブシェミが「映画に出てくる人々が住んでいる場所がゴーストワールドなんだ」って言ってたので息子にはそう説明しておきました。
“社会の歪み” がそうかもしれないし、彼女たちの生きている年代...何者にもなりきれていない時期が”ゴースト・ワールド”なのかも。
それにしても、イーニドとレベッカのキャラが最高できびしいセリフを人々に容赦なく浴びせかけるんだけれどこれが笑っちゃいます、ほんと。
イーニドの無表情がこれまた…ね、アレですよ。

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2人は幼なじみで親友、いつも一緒だけれど実は扱いが全く違う。
イーニドはずっと”ユダヤ人”という差別を受けていてさらに服装からやることなすことエキセントリックだということで周囲から「変人」や「ヲタク」だという偏見の目で見られています。
イーニドに比べればレベッカは”まとも”な普通の人です。
ほとんどの人は2人に話しかけているようで実のところイーニドを無視してレベッカだけに話しかけています。
イーニドの常にかかえているフラストレーション、痛いほどよくわかります。
もちろん彼女が説明するようにその年齢独特のホルモンのせいだともいえるけど。
さえないヲタク中年シーモアの彼女探しを手伝い始める彼女。
自分と同じ人種のシーモアに共感するのは、世の中にとけ込めない彼に無意識に仲間意識を持ちシーモアが受けいられないことで自分までも否定されていると感じたのでしょう。そして彼を通して自分の将来をみているのかもしれない。
彼の恋愛がうまくいったらいったで面白くない、レベッカと同居するつもりだったものの、普通の感性の彼女に違和感を覚え始めてだんだんすれ違うようになっていく。
そうなると自分だけこの世界で浮いた存在、孤独な人間だと思えてくるんですね。
徐々にシーモアや自分を客観視するようになってきます...そう、成長したんです。
路線廃止になったバスを常に待ち続ける老人のエピソード、そしてなぜか来るはずのないバスはある日やってきて ―― ラストがこれまたよいですねぇ、深いんです、最後が。

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しかし無表情でつるんとした顔のイーニドを完璧に演じ切っていたソーラ・バーチの存在感たるや凄すぎます。私、彼女と初めて出会ったのが劇場に見に行った「Dear フレンズ(原題 Now and Then)」(ここで言わせてもらいます、是非DVD化して下さいポロリ)なのですが、その頃はむしろ彼女よりもクリスティーナ・リッチとかギャビー・ホフマンの方にばかり目がいっていました。
「アメリカン・ビューティ」でもね、それは言わずもがなですね。そして現在31歳なんですね、ソーラ。
イーニドに共感し、彼女の気持ちが手に取るようによく理解できるのは彼女と似ている部分を持っていたからなのかな...私。
おかしくて笑ってしまったのがイーニドが髪を緑色に染めた時「シンディ・ローパーか、お前はゆう★」みたいなこと言われてたけど、私も別にメイクとか髪の毛を染めてたわけでもないのに若い頃「シンディ・ローパーに似てる」って何回か言われたことがありますアセアセ
要はやること、言うことがいつも突拍子がなかったからからなんです冷や汗
ブラッド・レンフロもいじめられっこの脇役だったけど、相変わらずいい仕事してたし、スティーブ・ブシェミ、困った顔がいいよね、やっぱニコッ
オープニングのこの曲が絶対はまりますよーーーーん♪





ヲタクな中年男、シーモアのもう一つの顔...笑




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2014/01/24

「BULLY」 ー なぜ、いじめっ子は殺されたのか?



先日、テレビで今は亡きブラッド・レンフロの「依頼人」が放映されていました。
まだ、子役デビューしたばかりの彼が利発で大人っぽい子供をいきいきと演じていましたが、それからから7年後。
堂々とした彼はすっかり鳴りをひそめ、そこには暴力的な友達にいつもオドオドしている青年マーティがいました。
そういえば同じく2001年のレンフロの作品で「ゴーストワールド」でも女の子2人に挟まれるちょっと気の弱い少年を演じていました。堂々としていた子供時代から何が彼の中で変わって行ったのでしょうね...私生活でもね。
「Bully」はハーモニー・コリンが脚本を書いた「Kids」の監督 ラリー・クラークがメガホンをとっています。
この監督さんがこれまたくせ者で、(ハーモニー・コリンもそうですが)未成年のドラッグ、バイオレンス、セックスなどを描いた作品を得意としています。
彼も若い頃にドラッグ漬けだったので自分の経験なども入っているのかもしれませんね。

ストーリー

成績優秀な高校生であるボビー(ニック・スタール)と高校中退の落ちこぼれマーティー(ブラッド・レンフロ)は、同じバイト先で働く幼馴染だが、ボビーはマーティに支配的な態度を取り、暴言を浴びせ暴力を振るうこともしばしばだった。そんな時ボビーとマーティはアリとリサという少女に誘われ、ボビーはアリと、マーティはリサと交際を始める。しかしボビーは二人にも暴力的な態度を取り、アリとリサを犯す。徐々にボビーへの憎しみが彼らの中に渦巻いていき、マーティの「殺すしかない」という一言からボビーの殺害を計画する。やがてアリの知り合いであるドニーとヘザー、リサのいとこであるデレク、不良グループのリーダーで、マフィアの殺し屋を自称するカーフマンを巻き込み、凄惨な殺害計画が実行される。


(Wiki より)

キャスト
マーティ・プッチオ      ブラッド・レンフロ
ボビー・ケント      ニック・スタール
リサ・コネリー      レイチェル・マイナー
アリ・ウィリス      ビジュー・フィリップス
ドニー・セメネック      マイケル・ピット
ヘザー・スワラー      ケリ・ガーナー
デレク・ディヴァーコ      ダニエル・フランゼーゼ
デレク・カーフマン      レオ・フィッツパトリック
クローディア      ナタリー・ポールディング    

スタッフ・映画情報
監督      ラリー・クラーク
脚本      ザカリー・ロング、ロジャー・プリス
製作      クリス・ハンレイ、ドン・マーフィ、フェルナンド・サリシン
製作総指揮      ジョーダン・ガートナー
音楽      エミネム
撮影      スティーヴ・ゲイナー
公開      アメリカ:2001年7月13日、フランス: 2001年12月21日、日本:2003年5月10日
原題     BULLY

最初に”Bully”の意味は「いじめっ子」という意味で、映画はジム・シュッツの小説『なぜ、いじめっ子は殺されたのか?』が元になっています。
この小説は1993年に実際にアメリカで起きた未成年による殺人事件について書かれています。(ボビー・ケント殺害事件



先に記載したWikiからの引用ではマーティが殺人を示唆したようになっていますが、映画の中ではリサが言い出しっぺで関係ない人間までをも巻き込んでたき付けています。
それというのもリサがマーティの子を妊娠し(ほんとはボビーの子供かもしれない、どちらの子供かは判断しがたいのです)それを打ち明けると彼は混乱してしまいリサに「堕ろせ!」と暴力をふるってしまいます。
子供の頃から友達だったボビーに常に暴力で従わされていたマーティはそれがもとで自分までも暴力的な人間に変わっていました。
リサはマーティの性格を変えてしまったボビーに憎しみを募らせていきます。おそらくボビーがいなければ子供ができたことだし結婚して幸せになれるとでも思っていたのかもしれません。
彼女はその場限りの身勝手な怒りを燃え上がらせ頭の中は「ボビーを殺してやりたい」想いで溢れかえり、友達にもボビーを必要以上に憎むように巧みな言葉で焚き付け始めます。マーティもボビーから逃げることしか考えていなかったのに、リサの悪だくみにまんまとハマってしまった感じがしました。
ボビーの残虐な性格にも原因があります、彼の父親の性格です。息子を常に自分の支配下において未来までも手中に納める支配的な親だった。
それとは対照的なのがマーティの父親で息子の顔に殴られた跡があっても「お前だけの問題に家族まで巻き込むな」といった無関心さです。
過干渉な親と無関心な親との間で息子たちに何が起きたか、残念な事に『こと』が起こるまで親たちは何も知らなかったのです。
ボビーはいつもマーティを家来のように扱いながらも実は自分に自信がなく、マーティが自分の元から離れてしまったら自分はひとりぼっちになってしまうことを恐れていました。リサの計画にまんまと乗っかってしまった他の若者たちも何かしら問題を抱えていて心に「飢え」のようなものがわだかまっていたのでしょう。
その場限りの繋がりとクスリと快楽で「飢え」を満たしているように見えます。
リサが企てた殺人も「人の命を奪う」といった認識はまったくなく、お祭り騒ぎかはたまたゲーム感覚で「おれが棒でぶんなぐる役な!」みたいな子供染みたノリで進行して行きます。


この映画のすごいところは最初は見る側をマーティの味方目線(=ボビーを憎む)に立たせ、「あんないじめっ子は少しくらい懲らしめてやりなさいよ」
という視点にさせます。
その後、若者が殺人を企てる部分からは、あまりに突飛で水でも浴びせられたようになり少し冷静になり引いた位置で若者たちを追いつつ「この先どうなるの?」と冷や汗がでるくらい緊張を増幅させていきます。
(時々若者のおバカさ、浅はかさに引いてしまったりするのですが)
事件を犯した後の若者たち、とくにリサの行動には驚かされました。
人を殺めてしまった後ろめたさであんな行動を取るんだね、自らの首を絞めるようなことを。。。
会話で自分から言わなくてもいいこと、自虐的なことを話す人は「何か後ろめたいんだな」って言えるかもしれないですよね、ほんと。
子供達の病んでる姿、そして子供に接する親の姿勢、浅はかな女の子の執念...恐い映画でしたね。




#デカダンス(頽廃)

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2014/01/21

Cinema music No.4 ー 70年代近辺のふる~い曲を集めました

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久しぶりに映画音楽の記事です。今回はアバウトですが70年代近辺のじつに懐かしい曲ばかりを集めてみました。

音楽旧いですが映画自体は近年公開の作品もあります。

My Cherie Amour(1969)― スティービー・ワンダー from 「世界にひとつのプレイブック- Silver Linings Playbook(2012)」
私も実はスティービーの曲ではあまり好きではないんです。

Sky High(1975)― ジグソー from 「THE MAN FROM HONG KONG(1975)」
子供ながら歌ってましたね、英語も習ってなかったのに...

Ready to take a chance again(1978)― バリー・マニロウ from 「ファウル・プレイ - Foul Play (1978)」
子供の頃に映画をテレビで見ていてなんだか泣けて来た曲です。この曲が流れる海辺のシーンが印象的

Best That You Can Do ”Arthur's Theme”(1981)― クリストファー・クロス from 「ミスター・アーサー - ARTHUR (1981)」
 超有名…ですかね。声が透き通るようですよね

Goodbye Yellow Brick Road(1976)― エルトン・ジョン from 「奇跡の海 - Breaking the Waves(1996)」
これも子供の頃聴いてましたね、カセットテープで

September(1978) ― Earth, Wind & Fire(1978) from 「最強のふたり - Intouchables(2011)」

It's raining men(2001) ― Geri Halliwell  from 「ブリジット・ジョーンズの日記 - Bridget Jones's Diary(2001)」
この曲は映画「マジック・マイク」にも使われていましたね。オリジナル曲はウェザー・ガールズ(1982)ですがブリジット・ジョーンズに使われていたのは2001年のジェリ・ハリウェル(元 スパイス・ガールズ)ヴァージョンです

A Dream Goes On Forever/夢は果てしなく(1973) ― Todd Rundgren from「ヴァージン・スーサイズ - The Virgin Suisides(2000)」
昔聴いたときも胸がキュンでしたが今でもメロディアスで泣けてしまいます

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2014/01/19

「アメリカン・ヒストリーX」ーラストの衝撃に、息がとまる

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本作と「アメリカン・ビューティー」「セブン」は何度見てもラストで愕然とさせられます。
(あとは「レボリュショナリー・ロード」、「日陰のふたり」かな...あ、両方ケイト・ウィンスレットだひやひや
「後味が悪い映画」の上位に挙げられるべき作品でしょう。
エドワード・ノートンの演技がすごいし、鍛え上げられた体もムキムキではちきれんばかり。役作りもハンパない。
1998年のアカデミー賞主演男優にノミネートされていましたね。
弟ダニーを演じるエドワード・ファーロングも美少年全盛期。
見応えがあります...感受性、理性豊かな少年を好演しています。
ほとんどのシーンでスキンヘッドなのがもったいないですね。
監督さんがあまり知られていない、トニー・ケイという方です。
映画公開に際して主演のエドワード・ノートンとゴタゴタがあったらしい、曰く付きの作品です。

ストーリー

白人至上主義に傾倒するダニーの元に、兄デレクが三年ぶりに帰ってくる。デレクは三年前に黒人の車泥棒を殺した罪で服役していたのだ。兄の帰宅にダニーは喜びを隠せない。なぜなら、父親を黒人に殺害されたダニーは、兄のデレクを三年間崇拝し続ける日々の中で、兄以上に白人至上主義に身を染めていた。
しかし、三年ぶりに会うデレクは、以前とはまるで別人のように穏やかで公平な人間になっていた。彼は刑務所の中で何を見たのだろうか。そして、現代アメリカにいまだ蔓延る差別意識。衝撃の結末を提示しながら、同時にアメリカの慢性的な問題を印象的に描いた作品。
(Wiki より)

キャスト
デレク・ヴィンヤード      エドワード・ノートン
ダニー・ヴィンヤード      エドワード・ファーロング
ドリス・ヴィンヤード      ビヴァリー・ダンジェロ
ダヴィナ・ヴィンヤード      ジェニファー・リーン
デニス・ヴィンヤード      ウィリアム・ラス
セス・ライアン      イーサン・サプリー
ステイシー      フェアルザ・バルク
ボブ・スウィーニー      エイヴリー・ブルックス
マーリー      エリオット・グールド
ラモント      ガイ・トリー
キャメロン・アレクサンダー      ステイシー・キーチ

スタッフ・映画情報
    監督 - トニー・ケイ
    製作 - ジョン・モリッシー
    脚本 - デイヴィッド・マッケンナ
    撮影 - トニー・ケイ
    音楽 - アン・ダッドリー
    美術 - ジョン・ゲイリー・スティール
    編集 - アラン・ハイム、ジェリー・グリーンバーグ
    衣装(デザイン) - ダグ・ホール
    製作総指揮 - ビル・カラーロ、キアリー・ピーク、スティーヴ・ティッシュ、ローレンス・ターマン
    配給      ニュー・ライン・シネマ  、日本ヘラルド
    公開      1998年10月30日(アメリカ )2000年2月19日(日本)
    製作国      アメリカ合衆国
    製作費      $20,000,000
    興行収入   $23,875,127
    原題     American History X

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「怒りはきみを幸せにしたか?」
デレク(エドワード・ノートン)とダニー(エドワード・ファーロング)の兄弟を見守ってきた校長のスウィーニーはデレクに訊ねる。
あれほどまでに白人至上主義に傾倒し、周りの若ものを巻き込んだり、危険な思想に没頭する彼を説得しようとする家族を殺気走る勢いで論破していたあの頃。
デレクは、さめざめと泣きながらスウィーニーに助けを求める。
自分と同じ白人から酷い仕打ちを受けたことで、心も体もズタズタ状態。
黒人の首をへし折って殺害し、刑務所にはいった彼が本音で語り合える唯一の友となったのは黒人だった。
3年の刑期中に痛い目をみて初めて自分が誤っていたことを知るデレク。

兄デレクが出所した日から翌日の朝までをダニーの視点から語られます。
デレクと入れ替わるように弟ダニーがレイシストのグループに加わるという皮肉。
兄を崇拝する弟はまるで分身のようにスキンヘッドにタトゥを入れ、キャメロンの手下さながらに闊歩していた。
キャメロンは若者たちを利用し、レイシストのグループを立上げ自ら仕切る危険な男。
デレクもかつては彼が率いるグループに入り、若者達の中心になっていた。
「弟に近づくな!」とキャメロンを殴り倒したデレクに怒りをぶちまける弟。
ダニーもキャメロンのグループに参加しながらも、目の前で兄が黒人を惨殺する現場を目の当たりにし自分にも責任があると良心の呵責に苦しんでもいた。
そんな弟に兄は刑務所の中で起きた出来事について静かに語り始める。

アメリカンヒストリーXとは、スウィーニーがダニーのために特別に行う授業の名称だ。「わが闘争」の感想文を提出した彼に、スウィーニーはレポートの書き直しを明日朝までに提出するよう命じる。
兄の刑務所内での出来事を聞いてレポートを仕上げ、そして翌朝を迎えるのだった ――

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この映画で語られているのは、アメリカの人種差別問題だけではない。
銃社会の問題や、若者を利用して甘い汁を吸う黒幕=大人たちの存在が見えてくるのだ。
一部の大人たちが家庭内で差別的な発言をすることによって、子供たちに同じ思想が植え付けられて行く。
刑務所内での様子はまるでアメリカの縮図を見ているようだ。
このような争いを通し、アメリカを中心とした国家間で起きている現実も見えてはこないか。
国家が傾いてくると不満をぶつける場所がなくなり、弱い物がそのはけ口にされる...レイシスト的思想が横行しはじめるという構図も見えてくる。
憎しみは憎しみの連鎖にしかならない、そして新たな悲しみをも生み出すこととなる ――
それはラストシーンで静かに残酷に教えてくれるだろう。





黒人を殺してしまった後に銃口を向ける警察に手を上げるシーンでのエドワード・ノートンの狂気に満ちたあの目、表情。
鬼気迫るかれの演技は一度見たら忘れられないでしょう。
見た後、ズシーンと重いものが残る作品です。監督・撮影のトニー・ケイさんはその後日本で公開されていない「Lake of Fire」(2006)、デタッチメント 優しい無関心」(2011)などを監督しているようです。
まだ見ていないので是非観てみたいです。
この監督さんは、脚本に忠実に描くのではなく、俳優さんに即興を要求し作品の定型性を打ち破る手法で有名だそうです。

監督タグ:トニー・ケイ

2014/01/17

最近の事件から考えること

JUGEMテーマ:子供とLINEアプリ


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本日は、映画から離れた話題になります。

大阪市で12歳女児が行方不明になっています。今月5日から消息を絶っているらしい。
まず女児といってもテレビで流されている写真はとても12歳には見えないのでそれにも驚いています。
単純に田舎と都会の差なのだろうか…愕然しておりますムニョムニョ メイクにつけまつげ、少なくとも高校1年くらいに見える。
中学1年、うちの子供と同じ年(学年は1年上)で、この差はいったい!?
そして、またも事件にからんでくるのはLINE
スマホを持つ人たちがほとんど活用するこの便利なツールを中学生が使っているという。
遊んでいるときでも、親と繋がっていられるという利点も確かにある。しかし、”嫌なものは見ない”、”無視すると”いう選択肢もあるわけです。
また、実際話しているわけではないから表情や声がわからない為、子供の本心が判読しづらいという面もあります。
過去の多くの事件でも見られるようにグループで話していてイジメに発展するということにもなりかねないし、一番恐いのは顔も知らない不特定多数の人たちとも繋がることもできます。
最近、うちの子供の身の回りにも事件が起きました。スマホではないけれど某ゲーム機でクレジットカードでダウンロードなどをして数十万の請求が来たということでした。こちらはゲーム機ですが、やはり不特定多数の人々と繋がる昨日を保持しています。
スマホや携帯、ゲーム機器が便利になって行く反面、子供たちにそのしわ寄せがくるんだなとここにきて実感しています。
ゲームも取り上げるだけでは解決しません。「時間を決めて」などと言っても頭の中はゲームのことでいっぱいで今日教えたことを明日には忘れているようなありさまです。
何か解決策がないものでしょうかゆう★...そればかり考えています。
スマホに関しても、親がスマホをイジれば子供もいじりたくはなるでしょう。
LINEというアプリの批判では決して、ありません。自分も便利に使っているのですから。

難しい...とにかくスマホに関しては少なくとも中学を卒業するまでは持たせないことに(私は)決めています。ただ、日中は仕事をしているので連絡がつくように携帯は持たせなくてはならないでしょう。
この次の参観日では、「携帯教室」といった内容の授業をするらしいです。先生、子供達、父兄で話し合いをして何か成果があればいいのだけれど。
スマホや携帯などは使う側のニーズにあわせて進化しているのでしょうが、他に波及してくる問題には対応していないので楽しんだ分、別な問題に自分達で対応して行かなくてはならないワケです。

感情的になっている為、かなりおかしな文章になっているかもしれません。それにつきましては後ほど、チェックし訂正させていただきますね。

参考:

大阪市鶴見区の中1女子、5日から行方不明





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2014/01/15

「ジンジャーの朝 〜 さよなら、わたしが愛した世界 〜」ー またもエルの涙にやられてしまった。

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レンタルDVDのパッケージでエル・ファニングを見つけ、また共演の女の子が「ピアノ・レッスン」の監督ジェーン・カンピオンさんの娘だと知り興味津々でレンタルしてみました。
またもガーリーな映画を見てしまったわけです。(ガーリーって言い回しが嫌いなんですけどね、年齢的にほど遠いからってわけでもないのだけれどゆう★
ジェーン・カンピオンの娘さんはアリス・イングラート、今年20歳らしい。15歳のエル・ファニングと20歳のアリス・イングラートは同じ日に生まれた親友同士という設定です...やっぱりアリスが年上に見えますね、当然ながら。
彼女、ちょっとジェニファー・ローレンスに似てる気がします。まだ顔が出来上がってない感じ、でむ不思議な魅力があってこれからどんどん綺麗になって行く系のお顔です。久々にアネット・ベニングも見れてちょっと得した気分(実は最初は見覚えはあるが誰だかわからなかったのですたらーっ

ストーリー
冷戦下の1960年代ロンドン、ジンジャー(エル・ファニング)とローザ(アリス・イングラート)は何をするのも一緒の幼なじみ。
思春期を迎えた二人は学校をさぼって宗教や政治、ファッションについて議論し、反核運動に興味を示すなど青春を過ごしていた。しかし、ローザがジンジャーの父親に恋心を抱いたことや反核運動への意見の相違から、二人の友情に溝が広がっていく。(シネマトゥデイ より)

キャスト
エル・ファニング(ジンジャー)
アリス・イングラート(ローザ)
アレッサンドロ・ニヴォラ(ローランド)
クリスティナ・ヘンドリックス(ナタリー)
ティモシー・スポール(アーク)
アネット・ベニング(ベラ)

スタッフ・映画情報
監督・脚本    サリー・ポッター
製作国     イギリス/デンマーク/カナダ/クロアチア
公開    2013年8月31日
原題    Ginger&Rosa


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のっけから広島に原爆が落とされ、きのこ雲が盛大に広がっているシーンからこの物語は始まります。
同じ日に同じ病室で生まれた女の子たちがジンジャーとローザです。2人はずっと一緒でお互いすべてを打ち明け合うまるで姉妹のような仲のよさ。時は流れ1960年代。お揃いの洋服で出かけたり、青春を謳歌している。そんな彼女たちも年頃になりそれぞれ個性が表れはじめます。早熟なローザの真似をしてタバコを吸い男の子と遊んだりするけれどジンジャーはだんだん違和感を覚えていきます。核兵器反対の集会やデモに最初は2人で参加していたけれど、考え方も少しずつくい違っていきやがてローザの関心はジンジャーの父親ローランドに向いていってしまう。尊敬していた自分の父親とローザが恋愛関係になることで父親の意見に反対することもなく無理に笑顔をつくっていたジンジャーだったが、深く傷つきとうとう心の均衡がとれなくなってしまう。

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ジンジャーは広島に原爆が落とされた年に生まれたことから運命的な何かを感じて核兵器反対運動に懸命だったのかもしれないし、自分の家族にぶつけたい本心を表に出さないゆえの悲鳴なのか、とにかく健気です。彼女の父親ローランドが思想家で投獄までされた苦しみを味わっているわりには娘の心の傷みを理解できない自己中心的な大人でやりきれないですね。
娘の笑顔が本心からなのか否かも見極められないなんて失格ですね、親として。(偉そうなこと言ってますが、難しいものですよね年頃の子供って悲しい
演じているアレッサンドロ・ニヴォラには私も惹かれたんですけどね、実は。
キューバ危機と時を同じくしてジンジャーの家族にも危機が訪れます。デモ行進に参加していた彼女は投獄されてついに彼女は抑えていた想いを爆発させてしまいます。「Somewhere」でもエル・ファニングの涙にやられましたが、今回もノックアウトでした。

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暗いばかりの映画ではなく、音楽もおしゃれでデイヴ・ブルーベックのTake FiveなどJazzの名曲が流れ、モッズ系のファッションが流行してた頃なのでその時代の雰囲気も楽しめます。
ローザ役のアリス・イングラートは映画「ビューティフル・クリチャーズ」にも出演してミステリアスな雰囲気をふりまいてくれてます。
原題は「ジンジャーとローザ」なんだけれど、主役はジンジャーでしたギザギザ



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2014/01/10

「スプリング・ブレイカーズ」ー 音楽までキラキラ、久々にノックダウンされた傑作

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ハーモニー・コリン、久々に凄い映画を作ってくれちゃいました。こういう映画待ってました!
公開時期は違えど2013年作品「ゼロ・グラビティ」が3Dという映像技術と宇宙空間で凄さを見せつけたというならば、「スプリング・ブレイカーズ」は色(全体に極彩色がちりばめられてる!)、ネオンライトそして音楽で刹那の美しさを描きだしております。私としては無重力空間を体感するよりも、若者たちのおバカな刹那をネオンの点滅さながらに描いた類をみない斬新さ、切なさに共鳴いたしました。
先日記事にした「クロニクル」もサイコキネシスを手にした若者(少年たち)が暴れ回る映画でしたが…ただ単に自分の好みじゃなかったのかな、自分でも分からないのですが。

ストーリー
つまらない大学での毎日に飽き飽きしている女の子キャンディ、ブリット、フェイス、コティの4人組。楽しい春休み(スプリング・ブレイク)を過ごす為にフロリダ旅行を計画していたが、どうしてもお金の都合が付かない。資金調達のため遊び半分で強盗を計画し予想外に成功。訪れたフロリダで存分にハメを外し、大いに楽しんでいた。そんな中、強盗事件がバレて捕まってしまう4人。そこにからエイリアンと名乗る、いかついうさん臭い男(ジェームズ・フランコ)が現れ保釈金を払い救われる。そして4人の運命が狂い始めていく。

キャスト
セレーナ・ゴメス − フェイス
ヴァネッサ・ハジェンズ − キャンディ
アシュレイ・ベンソン − ブリット
レイチェル・コリン − コティ
ジェームズ・フランコ − エイリアン
グッチ・メイン − アーチー
ヘザー・モリス − ベス

スタッフ・映画情報
監督      ハーモニー・コリン
脚本      ハーモニー・コリン
製作      チャールズ=マリー・アントニオーズ
ジョーダン・ガートナー
クリス・ハンレイ
デヴィッド・ザンダー
製作総指揮      アニエス・ベー、ヴィクラム・チャットワル、クリス・コントグーリス、ミーガン・エリソン、テッド・フィールド
ジェーン・ホルツァー、ヴィンス・ジョリヴェット、マイルス・レヴィ、ステラ・シュナベール、フェルナンド・サリシン
ウィックス・ウォーカー、エイシャー・ウォルシュ
撮影      ブノワ・デビエ
音楽      クリフ・マルティネス、スクリレックス
製作会社      ミューズ・プロダクジョズ、ディヴィジョン・フィルムズ
公開      2012年9月4日(イタリア )2013年3月15日(アメリカ )2013年6月15日(日本)
製作国      アメリカ合衆国
製作費      $5,000,000
興行収入      $31,724,284
原題      Spring Breakers


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まず、製作に挙げられているアニエス・ベーを見て「あれ?」って思いました。監督のハーモニー・コリンとアニエス・ベーは交友があって共同で映画プロダクションを設立していたんですね。前作「ミスター・ロンリー」は製作と衣装提供していたそうですが、「スプリング・ブレイカーズ」でも衣装を担当しているのかな?(よくわからないけど。)出演者がシーンごとにちゃんと色合いを考えられた服を着ていますよね。
あとは、フェイス役のセレーナ・ゴメスですね、とっても可愛らしい♥なんだか、この顔よく見る気がする…と思ったら息子が大好きなディズニーチャンネルのドラマ『ウェイバリー通りのウィザードたち』に出ていたんですよね。息子に「『ウェイバリー通りのウィザードたち』のアレックスがこの映画に出てるよ」って教えたら「えー、見たい!!」って言ってましたがさすがに小学生はNGと判断し見せませんでした。
さすがディズニーチャンネル出身だけあって、4人の女の子の中ではスプリング・ブレイクを楽しみたいだけであとは「普通の大学生に戻ります」って感じのよい子を演じています。他の女の子たちがくせ者で特にキャンディとブリットは恐ろしい本性を持っています。普通は無邪気でキャッキャワイワイやってるだけだけれど、強盗を提案して実行したのも彼女たちでその後罪悪感もなくてそれどころか得意になってるし、「お金の匂いがいい匂い!」とか。末恐ろしいです、この子たち。根っからの悪人的素質があるんでしょうね。

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前半は、女の子達の露出シーン満載、海辺でバカ騒ぎして、クスリやって…吐き気がします。むしろエイリアン(ジェームズ・フランコ)とつるんでギャングになってからの方がまだマシでした、私的には。
ジェームズ・フランコ演じるギャングスターは女の子たちの一瞬の楽しい時間を共有したいだけなんですね、きっと。
フェイスとコティは去っていきエイリアンのもとに残るのは例の根っから悪い女の子キャンディとブリットだけになります。
ジェームズ・フランコがこれまた怪演で、どこか頭のネジが緩んでるのかと思うような人物で気味が悪いんです。話し方はラップ口調だし、「オレはこれだけ金やガン(銃)を持ってるぞー!」って女の子の気を惹きたいから無邪気に自慢しまくる。私の頭の中では、4人の女の子を売り飛ばして…なんてありきたりなストーリーが浮かんでいましたが違いました。エイリアンにくっついてる双子もこれまた不気味。

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この映画で最も美しいシーンがブリトニー・スピアーズとのコラボシーン。(ブリトニーが実際に出るわけではないです)「Everytime」という切ない曲をエイリアンがピアノで惹きその周りでピンクの覆面姿で銃をもった女の子達が踊る…夕暮れ時の美しい景色の中で….シュールですよね。歌詞がまたこの女の子たちの気持ちを表しているようでピッタリなんです。
それとエイリアンが時折口ずさむ気の抜けたよれよれーとした鼻歌
るんるんスプリングブレイク、スプリングブレイクギザギザるんるん
すごく哀しく響きます。こういう細かいとこがいいです、ジミに沁みますラブ
金やモノだけの寂しい男なんですねエイリアンは。
映画全体に流れる音楽もまるで光の点滅キラほしを感じさせて素晴らしすぎて、とにかく凄い作品だと感動しっぱなしでした。
みずからをギャングスターと豪語するエイリアンとそして女の子たち。ギャングとして一生を過ごすであろうエイリアンと、スプリングブレイクで一瞬だけ弾けたい女の子たちが対照的で切ないですね。エイリアンは単純に美しい女の子たちの一瞬を共有したい、それだけで幸せだったのかもしれません。
女の子たちにとっては、この経験はまさに通過儀礼でしょうね。

音、映像、ギャング、ブリトニー・スピアーズのコラボが凄すぎる映画でした...きっとこれから映画を撮る方達そして若者たちにかなり影響を与える作品と思われますね、いわゆるカルト的名作。
ジェームズ・フランコの名優さも再認識しました。



#デカダンス(頽廃)

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