My Cinema Talk World: 神様メール − 聖書は自分で作るもの!

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2017/05/02

神様メール − 聖書は自分で作るもの!


ゴリラと寝るカトリーヌ・ドヌーブに感動します


WOWOWで鑑賞しました。

神様メール(原題:Le tout nouveau testament)


監督:ジャコ・バン・ドルマル / 製作年:2015年


ストーリー
ベルギーのブリュッセル。とあるアパートに家族と共に生活している神は、慈悲深いという人々が抱いているイメージとは真逆の嫌な人物であった。自分の部屋に置かれたパソコンを駆使して世界を管理しているが、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいた。そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、家出を考える。立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込んだ彼女は、全人類それぞれの死期を知らせるメールを送信して家を飛び出してしまうが……


キャスト
ブノワ・ポールブールド神様
カトリーヌ・ドヌーブマルティーヌ
フランソワ・ダミアンフランソワ
ヨランド・モロー女神
ピリ・グロワーヌエア

スタッフ・作品情報
監督: ジャコ・バン・ドルマル 
製作: オリビエ・ローサン  ダニエル・マルケ
脚本: ジャコ・バン・ドルマル  トーマス・グンズィグ
撮影: クリストフ・ボーカルヌ
美術: シルビー・オリベ
編集: エルベ・ド・リューズ
音楽: アン・ピエールレ

原題: Le tout nouveau testament
製作年: 2015
製作国: ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作

配給: アスミック・エース

公式サイト: http://kamisama.asmik-ace.co.jp/


使徒の中の一人、女の子になりたい男の子。



神や聖書にまつわる不条理をファンタジックに仕上げたドラマ。
笑える場面もあり奇想天外なコメディなのに、この世の中に生きる人々の苦しみや哀愁も伝わってくる。
こじんまりと纏まっていないのがこの監督さん(ジャコ・ヴァン・ドルマル)らしい。
「ミスター・ノーバディ」のような深奥なセオリーに取って代わって、今回は取っ付きやすい童話手法が取られている。
天国 ―― つまりエアとその家族が住む暗い家、そこからドラム式洗濯機を通って下界に降りたつ。
彼女は下界で新しい聖書「新・新約聖書」を作るべく6人の使徒を探す旅にでて、神(父親)に運命を握られていた報われない彼らに救いの手を差し伸べる。
特に夫に相手にされない寂しいマダム(カトリーヌ・ドヌーヴ)のエピソードが型破りすぎて一番面白い。

ついに理想の相手に巡り会えた?!



男女がベッドに横たわるシーンが頻繁に出てくるが「ミスター・ノーバディ」のニモ(ジャレッド・レト)とアンナ(ダイアン・クルーガー―― または、彼らの15歳の時期を演じたトビー・レグボとジュノー・テンプルのあのシーンを彷彿させる。物悲しく美しい映像と音楽は変わらず素晴らしい。

ミスター・ノーバディのワンシーン

エアのお母さんが、夫に虐げられ、ただ黙り続ける役立たず人間なのかと思いきや素敵なオチをつけてくれるシークエンスにホッとする。

詰まるところ、人生は他者に操作されるものではなく、自分がどう進んでいくかで決まるのだ。
本作も「ミスター・ノーバディ」で監督が描いた人生賛歌がモチーフとなっている。
理不尽な親の束縛から逃れる10歳の少女エアの通過儀礼の物語でもあるのだろう。

使徒たちの声を本にした「新・新約聖書」も出版され、日の目をみることになってめでたしめでたし!
ちなみに、本作のタイトルは「 Le tout nouveau testament(新・新約聖書)」です。


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