いきなり満島ひかりが殺されてしまう驚き
そして、田舎の“後継問題”は切実だ
スカイライン GT-R33、ナンバー33を乗り回す無口で暗い祐一(妻夫木聡)。
小学校時代から国道沿いを行ったり来たりしながら人生の大半を過ごしてきた地味な女 光代(深津絵里)。
この2人を中心に、それぞれの運命は動き始めます。
以前見て、陰鬱に物語は展開していきつつ、胸を打つシーンやらセリフがあるのを記憶していました。
親元を離れ、都会を謳歌する佳乃(満島ひかり)がとんでもないビッチの性悪で、殺されて遺体が見つかるという強烈な映画です。
もう一度見たいと思いつつ数年がたってしまいました。
先週、WOWOWシネマで『妻夫木聡が観たい!』という特集で久しぶりに観ることができました。
腹黒い、親不孝、そしてウザい女 佳乃 |
悪人
監督: 李相日 / 製作年:2010年
ストーリー保険外交員 石橋佳乃(満島ひかり)が殺される事件が起きる。
解体業をしながら祖父母と暮らす 清水祐一(妻夫木聡)が犯人だった。祐一は別の女性 馬込光代(深津絵里)を連れ、逃避行をするのだった…
当初、容疑者は裕福な大学生の増尾圭吾(岡田将生)だった。増尾の供述と新たな証言者も現れ、容疑の焦点は祐一に絞られる。
キャスト
清水祐一 - 妻夫木聡
馬込光代 - 深津絵里
増尾圭吾 - 岡田将生
石橋佳乃 - 満島ひかり
佐野刑事 - 塩見三省
久保刑事 - 池内万作
矢島憲夫 - 光石研
清水依子 - 余貴美子
清水勝治 - 井川比佐志
堤下 - 松尾スズキ
馬込珠代 - 山田キヌヲ
スタッフ・作品情報
監督: 李相日
脚本: 吉田修一 李相日
原作: 吉田修一
製作: 島谷能成 服部洋
町田智子 北川直樹 宮路敬久
堀義貴 畠中達郎 喜多埜裕明
大宮敏靖 宇留間和基
撮影: 笠松則通
音楽: 久石譲
主題歌: 福原美穂「Your Story」
編集: 今井剛
製作会社: 東宝映像制作部
配給: 東宝
公開: 2010年9月11日
ズーンとくるのは、ラスト近くの祐一と光代が海を見つめて涙するシーン ―― 本作の全てが込められている気がします。
ほんの数日一緒にいただけの2人の人生におけるハイライトとも言えるシーンで、初めて大切な人と「一緒にいたい」という想いが通じ合う。
そして、佳乃の父親(柄本明)が、増尾に言う
「今の人間は守るものがないから、人を嗤って強い気でいる」
ここ一番のセリフが胸に響きます。
人として生きる遣る瀬無さが描かれていて、運命に翻弄される人たち
祐一
光代
佳乃
祐一の祖母
佳乃の父
増尾
演じる俳優たちが、皆名優で類いない演技を見せてくれます。
人を殺めるのは悪いことだが、それ以上の悪人とは?
自分以外の人間を軽んじること ―― 殺すという方法を使わなくても、人を殺すと同等のことは尊厳を踏みにじる行為。
佳乃を車から蹴り出す最低男 増尾 |
母親(余貴美子)に捨てられた祐一をわが子のように育てた祖母(樹木希林)の想いは理解はできるのです。
ただ遣る瀬無いのが祖父母は孫を十分理解しておらず、頼り切って不自由にしていまっていること。
祐一がもっと自由だったなら、出会い系などを利用することもなかったかもしれない。
祐一みたいな人間は田舎ではよく見かけます。
(出会い系の問題ではなく、親に頼られて縛られているという意味です)
自分の人生よりも親や家を優先しなければならない、それを強いられる人たち ―― そういう知人も自分の周囲には少なくありません。
長男だからといって、家や土地を継がせられ一生親の面倒を見て過ごす人生。
親は幸せだろうが、家から離れられない子どもの行く末はどうなる?
老老介護⁇
そんなことも考えさせられます。
相手が親兄弟でも恋人にしても
「人を愛すること、大切に思うこと」の切実さが伝わってくる映画です。
誰が悪人かではない ――
誰でも心の中に隠し持った悪が存在するし、気高い心もあります。
悪の部分を出さないように、バランスをとりながら生きています。
ふかっちゃんがいいっ!
「カバチタレ!」「恋のチカラ」の時のような、透明で消え入りそうな声で話す必死なふかっちゃんが見られて嬉しいです。
ちなみに「カバチタレ!」では常盤貴子さんの弟役の山下智久さんが、カメラに向かってお尻が丸出しという驚きのシーンがあります。(第二話)
今では考えられませんよねぇ😆
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