My Cinema Talk World: ヴァージン・スーサイズ(The Virgin Suicides)− ガーリーだけじゃ済まされない。

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2014/01/02

ヴァージン・スーサイズ(The Virgin Suicides)− ガーリーだけじゃ済まされない。

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ご挨拶が遅れました。
みなさま、明けましておめでとうございます鏡もち
本年も、ブログは続けて参りたいので宜しくお願い致します♪

さて、今年初のブログは「ヴァージン・スーサイズ」になります。かなりオススメの作品でございます。
(...が、今現在はDVDは手に入りづらい状況でございます。)
ソフィア・コッポラというとすぐに”ガーリー”はたまた”おしゃれ”な映画を撮る監督さんというイメージになってしまっているらしい。映画にかっこいい&すてきな音楽が使われていたり映画の色合いがナントカ女子とかに好まれそうな色合いですよね、なんとなく。確かにねいまどきの女の子たちが好む要素がてんこ盛りです、他の作品も。。。
三作目になるキルスティン・ダンスト主演の「マリー・アントワネット」だってきらびやかなドレスやケーキとかね、それだけってカンジでなんでも褒めちぎり感動してしまう私も途中で断念いたしました悲しい
眠かったせいもあると思うので、「マリー・アントワネット」につきましては再び挑戦したいといつも思っています(未だに達成していないのです)
で、本題の「ヴァージン・スーサイズ」ですが作品中使われる写真もソフィア・コッポラがみずから撮影したり、映画のオープニングなんかもオサレな女の子っぽい手書きのフォントが使われたり、日本の女の子が食いつきそうで「最後まで見られるかしら、わたし」って不安でいっぱいになりましたわけですよ。
ところがところが、すぐに70年代の若者にすっかり自分までなりきってしまうほどの入りこみようであっという間にエンディングになって涙涙...でした。どんな涙なのかは後ほどご説明致しますねラブラブ

ストーリー
美しくてかわいく、それでいてどこか謎めいたところのあるリズボン家の5人姉妹。ヘビトンボが、美しい郊外の街を覆いつくす6月、そんな5人姉妹の末妹セシリアが聖母マリアの写真を胸に抱きながら、剃刀で腕を切った。一命はとりとめたものの、彼女は数日後、自宅で開かれたパーティーの最中、窓から身を投げて命を落とす。繊細でかつ危うさを秘めた思春期の少女達の揺れ動く心情を、巨匠F・F・コッポラの娘にしてこれが監督デビュー作のソフィア・コッポラが瑞々しいタッチで描いたドラマ。
(allcinema ONLINEより)


キャスト
ロナルド・リスボン      ジェームズ・ウッズ
リスボン夫人      キャスリーン・ターナー
ラックス・リスボン(14歳)      キルスティン・ダンスト
ボニー・リスボン(15歳)      チェルシー・スウェイン
メアリー・リスボン(16歳)      A・J・クック
セシリア・リスボン(13歳)      ハンナ・ホール
テレサ・リスボン(17歳)      レスリー・ヘイマン
トリップ・フォンテーン      ジョシュ・ハートネット
ティム・ウェイナー      ジョナサン・タッカー   
ポール      ロバート・シュワルツマン   
ジェイク      ヘイデン・クリステンセン   
ムーディー神父      スコット・グレン
ホニカー医師      ダニー・デヴィート
トリップ・フォンテーン(成人後)      マイケル・パレ
ナレーター      ジョヴァンニ・リビシ

スタッフ・映画情報
監督      ソフィア・コッポラ
脚本      ソフィア・コッポラ
原作      ジェフリー・ユージェニデス『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』
製作      フランシス・フォード・コッポラ
ジュリー・コスタンゾ
ダン・ハルステッド
クリス・ハンレイ
公開      2000年4月21日(アメリカ)
日本公開 2000年4月22日
上映時間      97分
製作国      アメリカ合衆国
製作費      $6,000,000
興行収入      $10,409,377


DVD ヴァージン・スーサイズ

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【ひと夏の思い出 ー 刹那的な美しさを目撃している感覚になる作品】
目の前で上がっているきらびやかな花火を見ているとき、どんな風になりますか?
「綺麗だー!」「きゃ~、すごーい!!」って声を上げて興奮すると同時に一瞬の美、すぐに終わってしまうものと知っているからこそ自然と感傷的になります。
そんな気分になる映画ですよね、うまく文章にできないのですが。
うーん、やっぱ「ガーリーな作品ではない」とは言えないな、リスボン家の女の子たちの気持ちは男の子には計り知れないものがあるから。
その年頃の女の子たち、そしてそういう時代を過ごした元女の子はわかるかもしれない、忘れてしまっていなければだけど。
謎めいた13歳から17歳までの5人姉妹が中心のお話だけれど、あくまでも彼女たちに憧れる男の子たちの目線で描かれています。そして映画を見る人たち(わたしたち)は少年たちと同じく傍観者でいながら、時折少女たちの心情もよみがえってきます。
「若草物語」のように姉妹たち一人一人については詳しく描かれていなくて、次女ラックス(キルスティン・ダンスト)と末っ子のセシリア(ハンナ・ホール)しか性格は掴めないんですね。姉妹の置かれた状況や心の動きを代弁しているのがラックスとセシリアです。それも断片なので余計に謎めいている。
地味だけれど、タイトルで惹かれてしまう「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」という原作にいちはやく目をつけ脚本を書き上げてしまった若いソフィア・コッポラはやっぱり七光りではないと感じました。

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【時代は70年代】
時代背景は、70年代アメリカ。日本にも共通していますが高度成長期まっただ中のこの時代は工業の発展とともに公害も表面化してきます。冒頭郊外の住宅地ののどかな景色が映し出され、オレンジ色の作業服を来たひとたちが大きな木に「撤去」の札を貼っています。リスボン家の前にある木が葉っぱが黄色くなっていく病気のために近々切り落とされ撤去されることになったのです。続いてけたたましく鳴り響くサイレン、近所の好奇に満ちた視線の中病院に搬送される末娘セシリア。
「人生の辛さもしらないうちになぜこんなバカなことを?」と訊かれると「先生は13歳じゃないし…」と落ち着いた口調で答える。印象的なシーンですね。
「いまどきの子はわからないねー」と大人はよく言うけれど、分からないのじゃなく忘れてしまっているのではないでしょうか、その頃の自分を。複雑じゃなく、案外シンプルな思考をしていたと思います。セシリアはリスボン姉妹の中では一番知的で13歳とは思えないほど大人っぽく、工業発展によって起こる自然破壊などにいち早く気づいていました。母親の厳しすぎる教育方針が絡まって必要以上に悲観的な感情に走っていたのではないでしょうか。姉たちの他人(ひと)を蔑むような行動、情動的なふるまいに嫌気がさしているようなことも淡々と日記に綴っています。
ヘビトンボの季節、6月から9月の時期に起こった出来事はセシリアの自殺が発端となっています。
夏は少女たちを自堕落にし、関心があるものにはよりセンシティブになります。そして恋愛は10代の女の子たちを大胆な生き物に変化させます。セシリア事件の後に姉妹の次女ラックスがモテ男トリップに恋をしてまた新たな事件への伏線になります。
これらの一連の事件の目撃者はリスボン姉妹に関心を寄せる同年代の男の子たちです。

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【ノスタルジックな気分をくすぐるストーリー&音楽】
街路樹から漏れる夏の日差し、映画全体に流れる物憂げな雰囲気だけでノスタルジックな気分に入り込ませ、それだけでもうノックアウトってカンジです、わたくしきらきら
映像の色合いが黄色がかった「70年代色」ですよね。そこにトッド・ラングレンやハート、ギルバート・オサリバンの音楽が場面にキッチリはめ込まれるように一分の隙なく敷き詰められていて、言葉で表現しきれないほど胸がきゅんきゅんしてしまいます。
(年甲斐もなく)全体に流れるAirの音楽もけだるげでいいです。
ラックスが楽しい時間を過ごした後のひとりぼっちで迎えたグランドの冷たい空気感。
大切なレコードを燃やされてしまう辛い場面、外出禁止令がとけない姉妹と電話で音楽の会話をする少年たち…歌詞が会話になっているんですよね~。
ほんと、泣けました。
しっかりツボを抑えてますよね、コッポラ監督エクステンション計算しつくされています。
少女たちの自殺が一つの主題にはなっているけれど、原因が何かとか関係なく実際は少女たちを傍観する空気感を一緒に感じる映画です。
少年たちが成長して自分の親と同年代になってもリスボン家のあの夏の事件は忘れ去ることができないでしょう。子供たちのあの感情を忘れないでほしいし、自分も忘れないでいることを心がけたい。
名作と思いました、未見の方がおりましたら是非見てほしい作品です。

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モテ男のトリップ(ジョシュ・ハートネット)は髪型、ファッションのせいか70年代の中村雅俊に見えましたたらーっ



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