My Cinema Talk World: 『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』ー 無作為の言葉だからこそ突き刺さることがあります

作品インデックス

2014/11/14

『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』ー 無作為の言葉だからこそ突き刺さることがあります



テイク・ディス・ワルツ」の感想を以前書きましたが、こちらは人生も下り坂の老夫婦の物語です。
サラ・ポーリーが監督した作品を観ると思うのですが、彼女は女性と男性の両方の感性を備えている特殊な人です。ごめんなさい、ゲイとかそういうことを言っているワケではありません。
美しい繊細な風景を描きながらも、そこに立つ人物にかなりグサっとささる一言を言わせてみたり…そんな部分が随所にみられます。

キャスト
    ジュリー・クリスティ:フィオーナ・アンダーソン
    ゴードン・ピンセント:グラント・アンダーソン
    オリンピア・デュカキス:マリアン
    マイケル・マーフィー:オーブリー
    クリステン・トムソン:クリスティ
    ウェンディ・クルーソン:モンペリエ
    アルバータ・ワトソン:ドクター・フィッシャー

スタッフ・作品情報
監督・脚本 サラ・ポーリー
原作 アリス・マンロー『クマが山を越えてきた』
製作 ジェニファー・ワイス、シモーン・アードル
ダニエル・アイロン
製作総指揮 アトム・エゴヤン、ダグ・マンコフ
撮影 リュック・モンテペリエ
編集 デヴィッド・ワーンズビー
配給 ライオンズゲート(アメリカ合衆国の旗)
ヘキサゴン・ピクチャーズ/アニープラネット(日本)
公開 2007年5月4日(アメリカ合衆国・カナダ )
日本公開 2008年5月31日
原題 Away from Her

ストーリー
44年も連れ添ったグラント(グラント・アンダーソン)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)はオンタリオ州に暮らす夫婦。フィオーナには時折アルツハイマーの兆候が現れ始めていた。
自分の症状に気が付いたフィオーナは介護施設に入ることを決意するが、その施設は環境に適応するために最初の30日間は誰にも面会できないという規則があった。グラントはその規則に納得できなかったが、フィオーナのために泣く泣く入居に同意したのだった。
最初の30日間が過ぎ、グラントが妻フィオーナを訪ねると、フィオーナはすっかり彼のことを忘れ、入居者の一人であるオーブリーという男性が夫だと思い込んでいた。愛する妻と他の男性が親密になっていく姿を見たグラントは、フィオーナにとって知人程度の単に覗き見をしているような立場に置かれ、いたたまれない気持ちになる。そんな中、オーブリーの妻が経済的な事情でオーブリーを自宅に引き取ることになる。オーブリーを失い落ち込むフィオーナは、症状が悪化日に日に衰弱してしまうのだった。





不覚にも、何に驚いたかって...
妻を施設に送っていって離ればなれになる前にあろうことかいきなりベッドイン。おーい!じいちゃん、ばあちゃん!!しばらく会えないのはわかるけどさぁ。。。
これって普通なのかな、海を越えたあちらの国では。いやはや、お盛んなことで^^;す、すみません、下品だわ。私。
でも、いいですよね、若いときと変わらないままでいられるなんて。羨ましいと思う!
奥さま(おばあちゃん)のフィオーナも70には見えないくらい美しくてエレガント。
まぁ、もともと女優さんなんだから当然といえば当然なんです。
おじいちゃんもとっても奥さま思いの優しい方って感心してたけれど、若い頃はかなり奥さまが焼きもちをやくような状況もあったみたいなのです。
施設に入る前の晩、別れを惜しみながら抱き合いダンスを踊る2人。
ところが翌日施設に向かう道である看板を目にして素敵な思い出を語っていたとおもいきや、あれれ、なにやらたがが外れたのでしょうか?!
忘れたいイヤな記憶に限って忘れられないものね。昔のあなたは若い女の子に片っ端から手をつけていたのに結局私を見捨てなかった...未だに私とセックスしてる
とぎょっとすることを静かに喋りだすフィオーナ。その時のおじいちゃんの表情が絶妙でおもわず笑いそうになっちゃいますね、いやはや。
彼女の心に秘めてきた煮えたぎった怒りなのかどうか真意がわからないのが、これまた恐いところ。
ラストにもおじいちゃんのこの複雑な表情が再びみられます。



長年連れ添った夫婦ってどこかで互いに「赦し」ながらともに生きてきて、自分では赦したと思っていたことが実は心の奥底にいつまでも引っかかってて、それがある拍子にふっと表面に出て来たときの恐さがたまらないですね。
サラ・ポーリー、そういう繊細な部分を描くのがとにかく巧い!
素晴らしい雪景色や優しく繊細な光線を描きながら
“アルツハイマーは脳内のβタンパク質の蓄積がみられ...”
とか淡々としたボイスオーバーが目の前の現実を語るところなどとにかく残酷、グサっと刺される感じがします。
あと看護師の女性がおじいちゃんにしみじみ語るセリフ
「男は死ぬ時、ああこんな人生もよかったんだなって考えるだろうど、実は女は違うものなのよ」
こんな感じのことを言うんです、ガーンときますよね。
この作品も夫婦揃って観賞するのにはヘビーすぎるかもしれない 、ブルー・バレンタインほどではないけれど。

やはり「物語る私たち」のような自分の出生に係るドキュメンタリーを1本の作品として撮るということも納得できます、彼女ならではの感性ですよね。
早く観たいです…



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