My Cinema Talk World: 「アメリカン・サイコ 」-- 誰がこの男を怪物にしたか?

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2014/06/09

「アメリカン・サイコ 」-- 誰がこの男を怪物にしたか?


前回記事と”サイコ繋がり”といいますか、「吐き気をもよおす作品」といいながら何度も見てしまう映画です。
主人公パトリック・ベイトマン役のクリスチャン・ベイルもここぞとばかりに怪演を見せてくれます。
’80年代バブルの時期そして終焉。この男を生み出したのは特殊な80年という時代です。金に麻痺し、物と快楽があふれそれをを貪る人々…また金や物をどれだけ持っているかが人を測る尺度となる。
その時代パトリックのような人間はたくさんいたと思います。(人を殺して愉しむということではないですよ)彼は高学歴、高収入ではあるけれど自分の力でそうなったわけではなく、仕事すらまともにした事がないのだと思われる。父親のすねをかじっているだけのおぼっちゃまです。
苦労しなくても金や快楽は手に入る、するとだんだん快楽に麻痺して別な刺激を求めるようになる。果ては苦痛に溢れた人の姿や真っ赤な血で興奮し充足感を得る。
一方、他人の苦しみは理解できない割にはとても傷つきやすい。持っているものが他者より少し劣っているくらいでハンパなく動転してしまうのです。その後イライラがこみ上げその怒りを弱いものをいたぶることで紛らして落ち着く。その繰り返し、負の連鎖は延々と続きます。
80年代。たくさんのおもしろい音楽も世の中に吐き出されました…言葉は悪かったけれど名曲がたくさん生まれました。劇中、80年代を代表的する曲の数々...ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、フィル・コリンズ、ロバート・パーマー、ホイットニー・ヒューストンの曲が流れ、パトリックは得意げに曲やミュージシャンの講釈をします。
それにしても彼の鬱憤のはけ口にされて無惨な殺され方をした人はどれだけいたのでしょう?彼が住むアパートメントには無数の死体が転がっていてビックリしますよ、ほんと。あんな中で生活していて臭いとかどうなんだろうなんてどうでもいいような疑問が湧いてしまいましたが^^;

ストーリー
ニューヨークはウォール街の投資会社P&Pに副社長として勤務するパトリック・ベイトマンは人生を謳歌している。ロングアイランドに居を構える裕福な一家に生まれ、アメリカ屈指の名門のボーディングスクール、フィリップス・エクセター・アカデミーを卒業しハーバード大学に入学。その2年後にはハーバード・ビジネス・スクールで大学院課程も修了した。現在はトム・クルーズも住んでいる都心の一等地アッパーウェストサイドのアパートメントを借り、ベイトマンはいわゆるヤッピーの典型だ。昼間はジムに行って汗を流し、ニューヨークでも指折りの高級レストランで同僚達とテーブルを囲む。実際、その会社を所有しているのは他でもないベイトマンの実父であり、ベイトマン自身が仕事内容について作中で語る事は皆無である。むしろ、ウォール街で働くエリートビジネスマンというのは建前で、ベイトマンの本当の生活は夜に始まる。同僚達は皆、彼自身と同じく高学歴・高収入のエリート達ばかり。しかし、それと同時に彼らは哀しいほど浅はかで、同僚間の信頼や友情は殆どうわべだけの物。共通のヘアスタイル、共通の趣味、そして共通のブランドのスーツを着こなす彼らのライフスタイルは、時としてお互い誰が誰だか分からなくなってしまうほど似通っている。確立された個々のアイデンティティーなどそこには無く、そのコミュニティーに溶け込み順応する事(Fitting In)とその過程においての自己の同一性混乱(Identity Confusion)が本作のテーマの一つにもなっている。表面上は仲の良く、気さくな同僚達。しかし腹の内ではお互いが何を考えているか知っている者などいない。会社では皆、行きつけのレストランや名刺のデザインなどを比べあい優越感に浸るばかり。そんな中、ある日ベイトマンの前にルックス・学歴・身だしなみなど非の打ち所のない同僚、ポール・オーウェン(映画ではポール・アレン)が現れる。
wiki より)

キャスト
パトリック・ベイトマン     クリスチャン・ベール
ドナルド・キンボール     ウィレム・デフォー
ジーン     クロエ・セヴィニー
コートニー・ローリンソン     サマンサ・マシス
ポール・アレン     ジャレッド・レト
イヴリン・ウィリアムズ     リース・ウィザースプーン
クレイグ・マクダーモット     ジョシュ・ルーカス    
ルイス・カルザース     マット・ロス    
デイヴィッド・ヴァン・パッテン     ビル・セイジ    
クリスティ     カーラ・シーモア    
ティモシー・ブライス     ジャスティン・セロー    
エリザベス     グィネヴィア・ターナー

スタッフ・作品情報
監督          メアリー・ハロン
脚本          メアリー・ハロン、グィネヴィア・ターナー
製作          エドワード・R・プレスマン、クリス・ハンリー、クリスチャン・ハルシー・ソロモン
製作総指揮     マイケル・パサーネク、ジェフ・サックマン、ジョセフ・ドレイク
音楽          ジョン・ケイル
撮影          アンジェイ・セクラ
編集          アンドリュー・マーカス
配給          ライオンズゲート(アメリカ合衆国) アミューズピクチャーズ(日本)
公開           2000年4月14日(アメリカ合衆国)2001年5月3日(日本)
製作費     $7,000,000
興行収入     $34,266,564
原題  American Psycho






パトリックのキレる時の表情の変化をチェックしながら見るのも面白いでしょう。特にポール・アレン(ジャレッド・レト)を殺害する時のさりげなくレインコートを着ながら斧を振り下ろすときの形相が貴方の脳裏に焼き付くことでしょう。ヒューイ・ルイスのヒット曲「Hip To Be Square」を流して彼のアルバムについて講釈するのですが...私はアルバム「Sports」の方が好きですね。
結局、この作品でまともな人間に見えるのははパトリックの秘書ジーン(クロエ・セヴィニー)とパトリックを怪しいと感じ調べ始める探偵ドナルド・キンボール(ウィレム・デフォー)くらいかな。


ブレット・イーストン・エリス(以前記事にした「レス・ザン・ゼロ」などの作家)原作の本作は頽廃を通り越して壊れ度がハンパない主人公パトリック・ベイトマンの変態さ加減と異常だった時代を十分すぎるほどに堪能できる作品でしょう。もちろん音楽も素晴らしいです。



ヒューイ・ルイスの曲にあわせて恐ろしい出来事が…ジャレッド・レトの腑抜けぶりに注目。。。

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