
原題は「Me and Orson Welles」ですが、邦題は「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」。
「部屋とYシャツと私」的なタイトルに変わっています。
予備知識なしでみたら、リチャード・リンクレイターの作品だと気がつかないと思います。
僕と彼女とオーソン・ウェルズ(原題:Me and Orson Welles)
監督:リチャード・リンクレイター / 製作年:2009年
キャスト
リチャード・サミュエルズ - ザック・エフロン: 役者志望の高校生。ブルータスの従者ルシアス役で舞台に立つことになる。
オーソン・ウェルズ - クリスチャン・マッケイ: マーキュリー劇団を主催する天才演出家・俳優。ブルータスを演じる。
ソニヤ・ジョーンズ - クレア・デインズ: マーキュリー劇団の制作助手。
ジョージ・クールリス - ベン・チャップリン
ジョゼフ・コットン - ジェームズ・タッパー
ジョン・ハウスマン - エディ・マーサン
ノーマン・ロイド - レオ・ビル
ミュリエル・ブラスラー - ケリー・ライリー: 劇団の女優。オーソンの愛人。
グレタ・アドラー - ゾーイ・カザン: リチャードが出会った劇作家志望の女性。
スタッフ・キャスト
監督: リチャード・リンクレイター
脚本: ホリー・ジェント・パルモ、ヴィンス・パルモ
原作: ロバート・カプロウ
製作: アン・カーリ、リチャード・リンクレイター、マーク・サミュエルソン
撮影: ディック・ポープ
編集: サンドラ・アデア
製作会社: CinemaNX Isle of Man Film 他
製作国: イギリス
公開: 2009年11月25日(アメリカ) 2009年12月4日(イギリス)
日本劇場未公開
原題: Me and Orson Welles

旧きよき映画の時代を感じることができる、ほろ苦さを包みこむ爽快感が残る軽快な青春ドラマです。
演劇関係の学校で学ぶ高校生 リチャード(ザック・エフロン)が幸運にもオーソン・ウェルズ(クリスチャン・マッケイ)の新作舞台劇に端役で出演することになる一週間のお話。
出会いも別れも運命。その繰り返しなんだよ、人生は…って妙に納得させられました。それと出会いが自分にとってどんな風に影響しているかの受けとり方って重要ですね。プラスととるかマイナスととるか。
オーソン・ウェルズは知識人で機転もきいて名優だけど、一人の人間としては幸せだったのか…とか。
今年公開される「おみおくりの作法」のエディ・マーサンがいつもオーソン・ウェルズに振り回される劇団の責任者的な役で出演しています。
オーソン・ウェルズが出演していたラジオドラマでも突然長々とアドリブを入れてきて周りをいらだたせるシーンがあります。
旧きよき時代ですね、大きな一本のマイクに向かって複数の俳優(声優?)たちが台本を読み、ページをめくる時は音をマイクに拾わせないように配慮したり、生の演奏を入れたり。
ウェルズにかなり気に入られて初舞台を迎えるリチャードだったけど…実は?!って展開なのですが、それは置いておいてとにかく舞台初日の緊張感がハンパなく伝わって来てこっちまでハラハラしました。
ほんとにリンクレイター作品かな、これ?っていう見せ方でこっちまでいちいち舞台をみている観客の反応が気になっちゃいましたね。
緊張の舞台が終わってみんなで喜びを分かち合っているんだけど、ん?なにか空気の流れが変わってきたぞ…ってなってきて前述通り、実はそう甘くないんですよ。
名優からいろいろ学ばせてもらったけど、所詮彼もプライドが高いただのおっさんだったよって学んだかどうかはその人の取り方次第です。
まだ、「風とともに去りぬ」が撮られていなかった頃の物語というのも感慨ひとしおでした。
ザック・エフロン、最初は受け身なだけの淡白な飄々とした青年がオーソン・ウェルズに刃向かっていくような男に変わっていくところも面白い。
ゾーイ・カザンが劇作家志望の女の子役で最初と最後にでてくるのも気がきいてるなーって思いました。
クレア・デインズがリチャードの気を引く魅惑的なオトナの女役。色っぽい!
舞台の大成功後、祭りの後での2人の会話がいい!!
ソニヤ(クレア・デインズ): 「運なんて必要ない、信じてないから」
リチャード: 「僕も信じてない。けど気休めになるだろ…」
俳優になる夢は破れた苦い経験を経て一回り大きな人間に成長したリチャードが勝ったなって感じました。
オーソン・ウェルズを演じたクリスチャン・マッケイが、素晴らしいけどオーソン・ウェルズ以外の役を演じられるのか?って心配なくらいの名演でした。