My Cinema Talk World: 『6才のボクが、大人になるまで。』ー 【祝】ニューヨーク映画批評家協会賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞受賞

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2014/12/05

『6才のボクが、大人になるまで。』ー 【祝】ニューヨーク映画批評家協会賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞受賞



劇場で観賞してからしばらく時間がたちました。
まさにすべてにおいて Time passes by…  時間は私たちを待たずに刻々と過ぎてゆきます。
さて、ラッキーなことにその後3度ほど観賞しました。
最初にレビューで書いた通り劇場では「うん、うんうん…」とうなずきじいちゃんが始終声を出していたので映画鑑賞するにはよい環境下とはいえなかったのです。
ネットで偶然拾った『6才のボクが大人になるまで。』が12月1日、2日と連日、ニューヨーク映画批評家協会賞(作品賞・監督賞・助演女優賞)そしてナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 受賞のニュースが嬉しいですね…お気に入りの映画だけにね。
ちなみにニューヨーク映画批評家協会賞を過去に受賞している作品を挙げると(私が特に好きな作品のみ)
「アニー・ホール」
「ディア・ハンター」
「クレイマー、クレイマー」
「愛と追憶の日々」
「マイ・レフトフット」
「羊たちの沈黙」
「ファーゴ」
「マルホランド・ドライブ」
「サイドウェイ」
「ブロークバック・マウンテン」
「ミルク」

いかがでしょう?!凄い作品たちが受賞していますよね。
しかしながら『マルホランド・ドライブ』が受賞してるとは…!!!
パトリシア・アークエットはニューヨーク映画批評家協会賞 助演女優賞を獲得しました。ついでにと言ってはなんですがイーサン・ホークも受賞して欲しかったな。



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【何気ないセリフを人物に語らせる…実はストーリーの総括的な含みがあったりする】
さて、『6才のボクが、大人になるまで。』ネット上でさまざまな感想を目にして人それぞれの見方があって面白い…ということで落ち着いて本作を見直してみました。今度はじっくりとゆったりと堪能できました。
巷の感想で否定派の意見として多いのは「やたらと長い!」ということ。
確かに、その通りです…長いと感じるのは特別な事件も起こらず、起承転結が曖昧だからですね。
何も特徴のない一瞬一瞬と意味がなさそうな普通のセリフでひたすら紡がれ続け、そうしている間にもメイソン少年は目に見えて成長して行き、親元から巣立っていき観客はそれを見届けて終わります。
今時のハリウッド映画的に脳内に瞬時に働きかける「うわ、すげーっ!」とか叫ぶような絶叫マシーン的愉快さは微塵もなく、悲しい場面やそこで畳み掛けるようなセリフや音楽もありません。
登場人物に一見なんでもないようなセリフを語らせ、カメラはひたすらそれを捉え続けます。
この作品を2回以上観る機会があれば、ここを注意して観て欲しい…というか無意識に見えてきます。
登場人物が何を語っているか?(特にメイソンJr.とその姉と父母です。)そしてメイソンJr.の視点です。
何気ないセリフとシーンの積み重ねが卒業パーティ以降に効いてきます。そして、「あぁ、だからこういう人格をもった青年になったのね~」って納得できて、まさに巨大なパズルを完成させたような快感と感動を与えてくれます。
高校を卒業し、父親とジミーのライブを聴きに行った時の2人の会話も深いのです。メイソンJr.が彼女と別れたことにまだ折り合いをつけられないでいることに対して、父親はアドバイスか慰めか分からないようなことを忌憚なく長々と語るのですが、メイソンは「で?要点は何??」と父親に問いかけ
「すべてのことに要点なんてないさ。」と答える。
まさに人生において要点なんてないのさ、後からついてくるものなんだよっていうことですね。
しかもいつの間にかメイソンJr.のものごとの考え方とか彼女(シーナ)が友達に彼のことをぺらぺら話してしまうことに腹を立てるセリフを聞いて父親そっくりの語り口にハッとします。
深く練られたプロットの緻密さに驚きますね。



【ラストシーンの“一瞬”ついて】
監督特有のユーモアというか、ただ者じゃないな...やっぱと思わせるのがラストのメイソンJr.と女の子との会話シーン。
“一瞬を逃すなっていうけど、逆だと思う。一瞬に捉えてられてるんだって思うの。”
観る側も「ん?」って考えて「ははぁー!!」て気づく。
結局“一瞬”って何でしょうね。擬人化(捉えられるという表現)している、これって?
詰まるところ、この映画の「一瞬」は彼らを捉えているショット=カメラのことですよね。カメラがいわば目となって一瞬を捉えているのです。だからこそ、不自然に途切れるように終わる、まるで瞬きするようなラストショットの意味がが理解できる。
ついでに一瞬=カメラ=観ている観客の目です。
どうでしょう! リンクレイターしゃれてる、ただ者じゃない!! ってしみじみ感じましたね。ただ漫然と「同じ俳優を使って12年撮り続けた」ことだけを売りにしていると思ったら大間違い。
普通すぎるほどのセリフとシーンの重ね合わせで緻密な伏線を創り、主人公の人間形成までの軌跡を描いた型破りな手法は人生の不確定さを掘り下げつつユーモアも効いていて心憎いばかりです。一瞬一瞬を地道に紡ぐことで結実した、とにかくかつてない映画です。
これだけは断言できます、映画史上に残る傑作です。

パトリシア・アークエットのセリフで頻繁に登場する「Responsibilitey」も心に残りますね。
彼女、おバカな男とばかりくっついて失敗してるように見えるけれど、2回目のアル中男以外は結構まともな選択してると思うんですよ。メイソンの父親も父親として責任をしっかり果たしているし、3番目の大学の教え子の男だって、そう悪い人間じゃない…継父なのにカメラを買ってあげたり、帰りが遅くなった時あんなカンジですよ、実の親子でもつい口うるさくなります。
姉役のローレライ・リンクレーターはやっぱりラスト近くにはやる気がないのが目に見えて分かります。極端にセリフが少ないですね。なんか目がとろーんとして腑抜けてる、やる気無さげ。これも時の流れに寄る変化ということで…ね^^;
それと...
何となしにラストショットのメイソンと話す女の子、彼が小学校でアップルのコンピューターをいつまでも見入ってて怒られた後に、「Apple quit...」とか先生のセリフをまねてメイソンをからかう女の子じゃないのかな...調べてないからわからないけど、ちょっと気になっていたので。。。

ここまでオススメな映画は久しぶりです。未見の方は是非観て欲しいです!!


一年ごとのメイキング映像です...萌え♥
下着のカタログ観ながら「オッパイ、オッパイ...」って喜んでるのがかわいいwww



http://insidemovies.ew.com/2014/07/11/ethan-hawke-interviews-his-boyhood-co-star-ellar-coltrane/
イーサン・ホークとエラー・コルトレーンのインタビュー記事…
これ面白いです♪