My Cinema Talk World: パリ、ジュテーム

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2012/04/21

パリ、ジュテーム



先日の記事にてジーナ・ローランズ出演の「きみに読む物語」について私なりの感想を書き散らし的に語りました。
彼女が出演している作品にパリ、ジュテームがあります。
全18話から成るオムニバス映画で、それぞれのストーリーが全て約5分ほど。パリの実在する場所が舞台の短い作品です。
観光などで知られるような著名な場所でなく、マドレーヌ界隈とかフォブールサンドニ、14区、ペールラシェーズ墓地などなどパリに実際に住む人たちしか知らないのではないか?と思われる小さなエリア。
実際、私が聞いたことがある場所はバスチーユとかチュイルリー、カルチェラタンくらい...あ、エッフェル塔はさすがに知ってるか。
実在するパリのある区域で繰り広げられるさまざまな人間模様は時に哀しく、楽しく、愉快かつ軽快に。
そして「こんなのあり得る?いや、あるかも...」 なんて調子で、それぞれの話の中にすっかり引き込まれてしまう。
18話それぞれ違う監督さんの作品で、 正直なところその名前は数名しか知りませんでした。
この映画にクレジットされている 諏訪敦彦氏という日本人の監督さんも、Wikiで調べて初めて知りました。
その他有名どころではガス・ヴァン・サント、ジョエル&イーサン・コーエン、ウォルター・サレス、アルフォンソ・キュアロン、イザベル・コイシェなどなど…ここに挙げた名前しかピンとこなくて後から調べてみた次第。

パリというと「オシャレな街」というイメージがまず第一に浮かんできます、もちろんそういうパリも出できます。
何よりスゴいと感動したのは、5分という短い時間でそれぞれの話が完結し、続きを思わず想像してしまったりさせられるところ。
小説もそうだけれど、映画は描かれている部分から観るものがその話の続きや描かれていない部分を想像することで初めて一本の作品になるんだと私は思っているのです。


18話の中で私が特に気に入った作品は

4話目のチュイルリー(監督:ジョエル&イーサン・コーエン)スティーヴ・ブシェミのどアップの顔が笑わせてくれる、怖い目を見た旅行者のお話。
8話目のヴィクトワール広場(監督:諏訪敦彦) ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォーのイングリッシュ・ペイシェント共演コンビ。息子を想う哀しい母親のお話。ウィレム・デフォーはカウボーイの役です。(笑)
12話目のお祭り広場 (監督:オリヴァー・シュミッツ)この話が一番好きだな...泣きました。人生って出会いも別れも突然やってくることを実感しました。
14話目のマドレーヌ界隈 (監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ)イライジャ・ウッドが女ヴァンパイアと恋に落ちるお話。最後が笑える。
そして、締めになる18話目 14区。( 監督:アレクサンダー・ペイン)パリを観光する中年の女性…確かこの女性役はマイ・ルームに端役で出てたと思ったけど…見知らぬ土地を一人で歩いているとこんな感情になってくるんだろうなって、なんだかデジャヴっぽい気持ちになるお話。
とにかく、観たあとにもっと素直に生きて行こうかななんて思えたり、自然と胸がスッとする素敵な映画です。

そうそう。
ジーナ・ローランズは17話目のカルチェラタンに出てきます。
別れた年老いた男女の寂しさが描かれています。最後のガラスに映り込むジーナの表情がこの話の全てを物語っているかに見えて相変わらずすごいなと感動させられました。

余談ですが、短編映画の延長線上に写真という表現があるのだと個人的に考えています。